[ワシントン 12日 ロイター]国際通貨基金(IMF)は12日、世界経済見通しを公表し、2016年の世界経済成長率予想を1月時点の3.4%から3.2%に引き下げた。中国の景気減速、長引く原油価格安、先進国の景気低迷が要因。予想引き下げは過去1年間で4回目となる。
IMFは、スタグネーション(景気停滞)に陥るリスクが広がっていると警告。世界経済は成長鈍化により、通貨の下落や地政学的な対立悪化といった衝撃の影響を受けやすくなる可能性があると指摘した。
今週ワシントンで開催されるIMF・世界銀行総会に出席する各国の政策当局者に対し、構造的経済改革や、可能であれば財政刺激策、緩和的な金融政策を協調して実施し、需要を促進するよう呼びかけた。
IMFのチーフエコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は声明で「景気減速は過ちが許される余地が狭まっていることを意味する」と指摘。「持続的な低成長は、潜在的な成長を損ね、需要と投資の減退という影響を及ぼす」と語った。
IMFは16年の日本の成長率予想を0.5%と半分に引き下げた。
ブラジルの成長率予想はマイナス3.8%とし、前回のマイナス3.5%から下方修正した。
米国の成長率予想も2.6%から2.4%に引き下げた。ドルの上昇により米国の輸出への圧力が強まるほか、原油価格安を背景にエネルギー投資の低迷が続くと予想した。
中国についてはこれまでに発表された政策措置などを踏まえ、16年と17年の成長率予想をやや引き上げた。16年は6.5%、17年は6.2%になる見通し。
ただ、消費主導型経済への移行に伴い、景気減速が続くとの見方を示した。
IMFは「中国が現在予想されている以上の景気減速に直面した場合、貿易や商品相場、信頼感を通じて世界に大きな影響が波及し、世界経済の減速がさらに広がる可能性がある。特に将来の所得への期待が一段と抑制されれば、そうなる可能性は高まるだろう」とした。
オブストフェルド氏は、世界の経済成長はIMFの最新の予想を容易に下回る可能性があるとし、そうなれば低成長のデフレスパイラルが強まり、将来の潜在的な成長が損なわれる恐れがあると指摘。この現象は「長期停滞(secular stagnation)」として知られると説明した。
また特にユーロ圏では、持続的な景気減速によって経済的な不平等感が強まり、国家主義的な保護政策の機運が高まる可能性があるとし、これも潜在的な成長を損なう要因になるとの見方を示した。
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