20776 海自試験艦「あすか」 最新艦載装備の性能をチェックする世界でも希有な艦船  産経新聞

■有事には護衛艦に早変わり!?

海上自衛隊は、世界の海軍を見渡しても希少な存在といわれる試験艦「あすか」を運用している。将来、護衛艦に搭載される艦載装備の試作品の性能試験が主な任務だ。

自衛艦隊の「開発隊群」に所属し、艦艇開発隊や指揮通信開発隊などともに、新型装備のデータ収集・分析につとめている。

海自幹部は「安全保障環境の変化に合わせ、必要な艦載装備の性能も変化する。あすかによる実用化に向けた海上試験は不可欠だ」と説明する。

平成7年の就役以来、これまで多くの装備を現場に送り出してきた。例えば、音波によって敵艦艇や潜水艦を探知し、方位や距離を測定する「水上艦用ソナー」。あすかは就役当時からあらゆる深さの海域での試験を重ね、データを収集。このソナーは後に「ひゅうが」型護衛艦に採用されている。

敵から発射された魚雷に対し“デコイ(おとり)”を放ち、追尾・命中を回避する「魚雷防護システム」の試験も担当。「あきづき」型護衛艦に搭載された。

ほかにも、各種護衛艦に幅広く採用された「新対潜用短魚雷」や、より遠くの潜水艦を攻撃するための「垂直発射魚雷投射ロケット(新アスロック)」の実用化にも貢献。新アスロックは「てるづき」以降の「あきづき」型護衛艦に搭載されており、敵潜水艦の脅威となっている。

あすかの存在がなければ、護衛艦が代わりにその役割を担うことになる。現状でも戦力不足に悩む護衛艦隊の部隊運用に支障をきたすことは確実で、「試験艦が導入されているメリットは大きい」(海自幹部)という。

母港は海自横須賀基地で、艦名は古代大和朝廷が栄えた「飛鳥」に由来する。試験艦としてはすでに退役した「くりはま」に次いで2隻目だが、船体の大きさは比較にならない。 

くりはまが全長68メートル、幅11・6メートル、基準排水量950トンだったのに対し、あすかは全長151メートル、幅17・3メートル、基準排水量4250トンで、大型護衛艦並みの船体を誇る。速力も護衛艦にひけをとらない27ノット(時速約50キロ)を誇る。乗員は70人で、このほかに試験員が搭乗する。

その船体や能力から、有事の際には必要な装備を積んで護衛艦として任務に当たるとの分析もあるが、海自幹部は「あすかまで戦闘に駆り出すとすれば、相当な事態。まず考えられない」と否定する。

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