熊本県で14日に最大震度7を観測した地震で、熊本県災害対策本部は15日、益城ましき町の8人と熊本市の1人の計9人の死亡を確認したと発表した。
負傷者は午後1時現在、佐賀県など周辺3県の9人を含め計774人で、総務省消防庁によると、53人が重傷。熊本県内では505か所に避難所が設置され、約4万5000人が身を寄せている。気象庁は同日、この地震を「平成28年(2016年)熊本地震」と命名した。蒲島郁夫知事は安倍首相に激甚災害指定を要請した。余震は依然として頻発しており、電気やガスなどのライフライン、九州新幹線など交通機関にも影響が続いている。
気象庁によると、15日午後1時現在で余震は129回に上り、このうち震度6強が1回、6弱が1回、5弱が2回、4が16回観測された。過去の同規模の地震と比べて「余震が非常に多い状態」が続いているという。同庁は15日朝から機動調査班を現地に派遣した。
午前10時半から記者会見した同庁の青木元げん・地震津波監視課長は「揺れが強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害などの危険性が高まっている恐れがある。今後の余震活動や降雨の状況に十分注意してほしい」と呼び掛けた。熊本県内では16日夜から雨が降り出す見込みという。
県災害対策本部などによると、倒壊した家屋の下敷きになるなどして死亡した9人は、29~94歳の男性4人と女性5人。窒息や圧死が多かった。
自衛隊約1700人、警察約1920人、県内外の消防2937人以上の態勢で対応に当たっており、警察は最大震度7を観測した益城町などで約60人を救助した。
九州電力によると、川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)は通常運転している。停止中の玄海原発(佐賀県玄海町)でも異常は確認されていない。
熊本県内では15日午後1時現在、約1万1400戸が停電している。西部ガスは、熊本市南区の1123戸で供給を停止している。
厚生労働省によると、同県内で約2万5000戸が断水している。同県によると、県内の幼稚園や小中学校は、校舎の窓ガラスが破損したり、壁面がはがれたりして380施設が休校・休園した。
JR九州によると、九州新幹線は15日も始発から運転を見合わせている。14日午後9時26分頃、熊本市の九州新幹線熊本―熊本総合車両所間で、回送列車(6両編成)が脱線するなどした。時速80キロ前後で走行中に脱線したという。国土交通省によると、新幹線の脱線事故は全国で4例目。
新玉名駅周辺で立ち往生した上下各1編成の車両も、15日午後1時現在も現場に残されたまま。乗客約100人にけがはなく、同駅まで徒歩で避難した。
九州自動車道では、南関インターチェンジ(IC)―えびのIC間の上下線約140キロが通行止めとなっている。震源地近くの益城熊本空港IC―嘉島ジャンクション(JCT)間の下り線には、長さ30メートルの陥没による穴ができた。大型トラックがはまったが、15日朝、クレーンで引き上げられた。
<a href="http://www.kajika.net/">杜父魚文庫</a>
コメント