20848 ロシア、北カフカスの兵士募集に異変   宮崎正広

■徴兵名簿にある若者の数千名が「蒸発」していた!

IS(イスラム国)の戦闘部隊の中枢は凶暴性、残虐性で世界に悪名高きチェチェン人である。

ロシアはチェチェンの反乱に懲りて、ようやく武装組織を鎮圧したが、戦闘集団の多くのメンバーがシリア、イラクへ移動していた。

このためロシアは過去二十年間、チェチェン、イングーシュ、タゲスタンなど少数民族地域からの徴兵を中断してきた。

この二十年の間に新しく育った若者で、徴兵適齢期に達したものは8万6千人にも上ることが判明し、失業対策の一環としても、そろそろこれらに地域からの徴兵を再開する方針を固めていた。一部の地域では実際の徴兵を開始した。

ところが徴兵再開の動きを察知した若者は蒸発するとか、反政府武装グループに身を投じるなど、反対の動きも活発化し、ロシアで新しい頭痛の種となった。

第一にチェチェン、イングーシュ、タゲスタン出身の兵士に対してロシア連邦軍のなかに明白な出身地差別があった。

第二にロシア人の若者が兵役を嫌い、また両親が子供らを戦場におくることを極度に嫌がる社会風潮ができあがったため軍の中の秩序に新たな変化が起きていた。

第三にチェチェンから徴兵に応じた若者が僅か500名、ダゲスタンでは、徴兵適齢の若者のうち、1800名しか居住しておらず、2000名が「蒸発」していた事実などから
 

ロシア軍のなかで依然として少数民族への差別が顕在化していることを物語る。

いまのロシア国民の意識は、かつて「大祖国戦争」のためには兵役に馳せ参じつといった、ソ連時代のメンタリティとは、まったく異なってきたこともわかる。

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