■オバマは、なんと266%の報復関税を中国の鉄鋼製品に
USスチールは、中国の鉄鋼製品のダンピング輸出により、損害を被ったとして、WTOに近く提訴するが、この場合、適応される報復関税は266%になるという。
普通、ダンピング分を計測し、それに対して100%の関税を追加徴税するのが普遍的と見られてきたが、その上、二倍近い税率を提示している。
つまり懲罰的関税である。
WTOはところで、「もはや死に体となった」と発言しているのが、強引に交渉を牽引した張本人のひとり、ミッキー・カンター(元USTR代表)だから、いまさら米国がWTOに提訴しても、どれほどの政治的効果があるのか、不明である。
政治的タイミングで見れば、トランプが「中国からの輸入品に一律45%を課税せよ」と獅子吼しており、鉄鋼城下町のピッツバーグなどでは一定の支持がある。
オバマ政権としては、この状態を軽視するわけにはいかないというわけだろう。
ともかく中国の設備投資過剰、そして鉄鋼、板ガラス、アルミなどの過剰在庫処分のため、WTOに違反を平気で猛烈なダンピング輸出をしており、世界の鉄鋼メーカー、加工企業などが、猛烈な損害を被り、日本でも四基ほど高炉がとまった。
韓国ではポスコが倒産寸前、インドのタタ財閥の鉄鋼部門は苦境に陥り、ベトナムでは鉄鋼商社が倒産している。
中国の洪水のようなダンピング輸出に対して、米国がようやく反撃を開始したことは、これからの成り行きに注視せざるを得ないだろう。
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