■参院選前に党内迷走 統一名簿か党単独か、方針定まらず
参院選を目前に控え社民党が迷走している。改選を迎える吉田忠智党首は12日の常任幹事会で、「社民党が参院選を戦う状況は極めて厳しい。民進党との合流も選択肢として考えられるのではないか」と言及したが、他の幹部の反発を受け、事実上の“撤回”に追い込まれた。
ただ、党単独での選挙戦が困難である状況に変わりはなく、党内では比例代表で他党との統一名簿方式を模索する動きもある。近く最終的な対応を決めるが、党首の合流検討発言は党の結束にも混乱を来している。
吉田氏は常任幹事会で民進党との合流の可能性に言及した後、民進党の岡田克也代表に電話で自らの発言を報告。吉田氏は記者団に「合流の打診はしていない」と強調した。岡田氏は「承った」と述べるにとどめたという。
ところが、日経新聞が12日付夕刊で「合流検討」と報じると、又市征治幹事長らが吉田氏と面会して諭した。同日夕には党本部が「報道は事実無根」との談話を無署名で発表した。
吉田氏の発言の背景にあるのは危機感だ。社民党議員は5人。参院選は吉田氏と福島瑞穂副党首が比例で改選を迎えるが、前回の平成25年の参院選比例は約125万票、1議席にとどまった。今回も改選2議席確保は困難とみられている。
12日の常任幹事会では、統一名簿方式か、党単独で戦うかについても意見交換した。ただ、民進党は統一名簿不参加を決定し、統一名簿を提唱した小林節慶応大名誉教授は政治団体「国民怒りの声」での参院選挑戦を表明。社民党内には「怒り」や生活の党と山本太郎となかまたちとの統一名簿を模索する動きが残っており、近く党幹部が小林氏と会談するなどして来週中に対応を決める方針だ。
社民党は参院選で政党要件の一つである「国会議員5人以上」を欠いた場合でも、25年参院選で得票率2%以上を達成しており、ただちに政党要件は失わない。ただ、党勢回復の兆しはなく、前身の社会党結党から71年の歴史を誇る“老舗政党”は岐路に立っている。
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