■ロバート・ケーガンがトランプを「衆愚政治の象徴」と罵倒
ロバート・ケーガンと言えば米国ネオコンの代表的存在。ブルッキングス研究所研究員であり、毎月『ワシントン・ポスト』に独特なコラムを寄稿する。
彼の著作は日本でも翻訳がある。畏怖による、シングルのパワーによる世界統治を説いて、レーガンブッシュ時代の論壇の一翼を担った。
そのケーガンが『ワシントン・ポスト』(5月18日)に寄稿し、トランプはヒトラーの再来であり、「ファシズムとは衆愚政治のなれの果て、確乎なる政治信念はなく、つねに衆愚の赴くところに政策を収斂させる」。「トランプは共和党の政治綱領を代弁するなどというのは、お笑い草だ」と罵倒した。
「民主政治への脅威がトランプであり、イデオロギーも政策もない。彼の言うことは毎日変わる。ところが彼に共鳴する支持者は共和党がどうなるかなどと考えては居ない。共和党そのものは彼に冷ややかであるばかりか、敵対的でさえある」。
(だとすればヒラリーに猛追するサンダースも同じであるが、民主党には一切触れていない)
「トランプは国家の不備と不適切さをならべて批判し、熱狂という異様な現象を作り出した。これを許したのは共和党の怠慢であり、ムスリム、ヒスパニック、中国人をひたすら攻撃し、トランプは熱気を仕立て上げたのだ」とケーガンは続ける。
「民主政治はときに怒り、興奮、不満をぶちまけるメカニズムを必要とし、だからこそファシズムに転じやすく、民主体制のもと、自由な社会がときに強き指導者を求めるという矛盾に導く」としてトクビルを引用しつつ、続ける。
「まさに『マス』だ」、これぞ「デモクラシー」ではなく「モブクラシー」と呼ぶべき現象なのである、と言い放ったケーガンは「トランプを支持するひとびとは、やがてスターリンが熱狂的な現象のもとに権力を手にするや、かれらが希望した正反対の方向へ走ったように、いずれトランプを撰んだことを後悔するだろう。かれが司法、軍、FBIを掌握したら、いったいどうなるかを誰も考えてはいない。マスは力強きリーダーを勘違いで撰ぼうとしている」。
「かくて米国にファシズムが到来する」とケーガンは警告するのだが、相当程度にネオコンの逆恨み心情が被さった論評となっている。
昨日あたりから米国の、たとえばCNNの世論調査では「トランプとヒラリー対決となった場合、トランプが勝つ」とする予測をはじめた。
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