昭和秘史 秩父宮と麻布三連隊(2)    田々宮英太郎

秩父宮については、石井秋穂元軍法会議判士の言辞が次のように引用されている。

 坂井は予審調書でも法廷でも、秩父宮様のことはひとことも話していません。ほかの誰ひとり発言していません。坂井が、中橋手記に書いてあるようなことを秩父宮様がいわれたというのは、笑止千万なことで、もしそういう会話が交わされた(それもとうてい信じられないが)とすれば、秩父宮様は「何か事があったら中央は一個師団を出して対抗措置をとるであろう」といったのだと思います。

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昭和秘史 秩父宮と麻布三連隊(1)    田々宮英太郎

二・二六事件の勃発から半世紀を遙かに超える。この間、日中戦争、太平洋戦争とつづいて敗戦。新憲法のもとで天皇は現人神(あらひとがみ)から象徴へと下降した。こうした変転の中で事件はどのように捉えられたか。

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