中国が日米・日ロ離間策に狂奔している。その尻馬に乗っているのが韓国、遠吠えしているのが北朝鮮という構図がみえる。
ゴールデンウイークというのに安倍政権の主な閣僚は外遊・・・といっても海外見物に出掛けているのではない。安倍首相はロシア訪問に続いてサウジなど中東各国に親善の旅をしている。
麻生副総理はインド、スリランカ、岸田外相はメキシコ、パナマ、ペルーなどを訪問し、小野寺防衛相は訪米してヘーゲル米国防長官と会談。
中国からみれば、日本が中国包囲網の外交攻勢にでていると被害者意識に駆られている。早速、新任の王毅外相が30日~5月5日にタイとインドネシア、 シンガポール、ブルネイの計4カ国を歴訪すると発表した。
安倍訪ロの計画を聞くや先手を打って3月下旬に中国の習近平国家主席はロシアを初外遊先に選び、プーチン大統領と会談した。中露の蜜月ぶりが対外的に演出しようということだったが、ロシア側の反応は意外と冷めている。
習近平はモスクワの大学で講演して、日中戦争で中国軍がソ連の援軍下で日本と戦ったエピソードを持ち出し、第二次大戦の戦勝国同士の歴史的連帯を呼びかけた。しかしロシア側の反応はいまひとつ盛り上がらない。
中ロ資源協力という課題も中ロ首脳会談では、天然ガスの輸出価格をめぐって両者とも妥協できずに価格交渉はまとまらなかった。
米外交専門誌、ザ・ディプロマットは「戦略的に重要で目新しいものは何もなかった」と習近平訪露は失敗だったと結論付けた。
米紙ニューヨーク・タイムズは「プーチン政権は極東ロシアが中国の人口圧力と経済力で圧倒されることを懸念している」と分析。CSISは最近、日米露3カ国のシンクタンク合同で報告書をまとめ、北東アジアの情勢について「軍事力の増強と自己主張の強い中国の行動が、北東アジアに深刻な影響を引き起こした」と指摘した。
それだけに日ロ経済協力を打ち出した安倍首相が、100人を越える財界使節団を同行させると聞いた中国側は、日ロ提携は何としてでも水を差したいところ。
中国国営の新華社は30日夜、安倍・プーチン首脳会談で北方領土交渉の再スタートで合意したことについて論評を配信し、「プーチン氏の態度と領土問題の複雑性から言って、日ロ双方がこの難題を打開するのは容易ではない」と論評した。よけいなお世話であろう。
「日ロ首脳接近の裏には、日本側が中国をけん制する狙いがある」との見方をしているから、新華社論評は「日ロ関係の発展は順調でないと見ることができる」と斬り捨てた。
中国の対米外交も「オバマ政権は中国という大市場を無視できない」と楽観論が根底にある。だから尖閣問題で日中が軍事衝突しても、米国は中立を維持するとみている。
渡米した小野寺防衛大臣とヘーゲル米国防長官との会談で「尖閣諸島の現状変更を試みる一方的な行為に反対する」と米側が確認したことは、青天の霹靂だったろう。
早速、ワシントンの崔天凱駐米大使は「一方的な行動をとっているのは日本だ」と反発し、勢いが赴くところ「日本のナショナリズム高揚を米国は警戒すべき」と米国に注文をつけた。
米国やロシアは中国の軍備拡張に警戒感を持っている。そのことには頬かむりして、「日本のナショナリズム高揚」を批判しても説得力がない。