地球上でホモサピエンスが誕生したのは20万年前(猿人は百万年前)のアフリカだったといわれている。それが北上して、一つの流れはアジアに向かい、もう一つの流れはヨーロッパに向かったと言われている。
氷河期に遡る二万三千年前の人骨がシベリアのマリタ遺跡から発見された。1928年のことである。この年に農民がバイカル湖に注ぐベラヤ川の上流28キロの左岸で、地中から大量の骨を発見し、イルクーツク郷土誌博物館に届け出た。
マリタ遺跡からは大量の石器や骨角牙器、獣骨などの遺物が発掘され。後期旧石器時代にシベリアでの集落の存在が明らかになっている。四ヶ所からマンモス牙製のブレスレットの半加工品三点、牙製の鳥像、女性の小像破片、石製品三点などが発見された。
ソ連の科学アカデミーがバイカル湖周辺の氷河の発掘調査で発見している。約二万年前にシベリアは人もマンモスも住めない極寒の時代を迎えていた。この時代に海面100メートルから120メートルも下がり、沿海州とサハリン、北海道は地続きとなった。
やがて地球は急激な温暖化に見舞われた。およそ一万五千年前頃だといわれている。
それなのに約一万三千年前にヨーロッパで急激に気温が低下したという。英ロイター通信が英国の科学者の研究として伝えている。英シェフィールド大学のマーク・ベイトマン博士の研究によると、当時北米にあった英国ほどの大きさの湖で洪水が発生し、大量の水が大西洋に流入。このため、メキシコ湾からヨーロッパに北上していた暖流がせき止められたという。
温暖化の時代に暖流がせき止められ、「ヤンガードリアス」と呼ばれる亜氷期が生まれたという学説である。この学説は現代的な意味を持っている。つまり地球温暖化によってグリーンランドで急激な氷河の融解現象が発生すれば、ヨーロッパが再び寒冷化する可能性が生じるという警告だと気象学者らはとらえているという。
地球の温暖化が叫ばれている時に、突如、暖流がせき止められ亜氷期が現出すれば、北半球の国々は氷に閉ざされる。考えるだけで怖ろしい予測と言わねばならない。
<[シンガポール 31日 ロイター] 約1万3000年前にヨーロッパで急激に気温が低下し、約1400年にわたって続いた「ヤンガードリアス」と呼ばれる亜氷期が、大規模な洪水によって引き起こされた可能性があることが分かった。英国の科学者が英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
英シェフィールド大学のマーク・ベイトマン博士の研究によると、当時北米にあった英国ほどの大きさの湖で洪水が発生し、大量の水が大西洋に流入。このため、メキシコ湾からヨーロッパに北上していた暖流がせき止められたという。
気象学者らは、地球温暖化によってグリーンランドで急激な氷河の融解が起きると危惧しているが、ベイトマン博士の研究は、氷河融解によってヨーロッパが再び寒冷化する可能性も示唆している。(ロイター)>