テレビで間抜けな解説者が「”渡り鳥”がシベリアから飛来する”冬”が鳥インフルエンザウイルスの危険な時期」と言っていた。オオハクチョウなどの”渡り鳥”がシベリアを目指して飛び立ったのだから、いまは心配ないと物知り顔で解説していた。
日本は”渡り鳥”の中継地になっている。夏に日本を訪れる鳥を「夏鳥」、冬に訪れる鳥を「冬鳥」という。渡りの途中で日本に立ち寄る鳥を「旅鳥」と呼ぶ。「夏鳥」も「冬鳥」も知らない者が、”渡り”を解説する資格などはない。
オオハクチョウは「冬鳥」、夏の間シベリアで雛を育て寒い冬を日本などで過ごす。2008年春に秋田県の十和田湖畔で見つかったオオハクチョウ三羽の死骸と衰弱していた一羽から、強毒性のH5N1型インフルエンザウイルスが検出された。忘れている人も多いだろう。
前年の2007年3月には、熊本県で見つかったクマタカの死骸からH5N1型が検出されている。このH5N1型はベトナムで四歳の男児が感染し、四日後に死亡している。
2011年の仏AFPの記事をみてみよう。
<【8月31日 AFP】国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organisation、FAO)は29日、中国とベトナムで強毒性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の変異株が確認されたことを明らかにし、鳥インフル再流行の可能性があると警告した。
FAOによると、中国とベトナムで発見されたH5N1型の変異ウイルスは「H5N1 – 2.3.2.1」として知られているもので、既存のワクチンが持つ予防力を回避できるという。
ベトナムにおける変異ウイルスが広がれば、近隣国のカンボジアやタイ、マレーシアだけでなく、朝鮮半島や日本にも危険が及ぶ可能性があるうえ、渡り鳥が媒介役となって、アジア以外の地域にもウイルスが拡大する恐れがあると、FAOは警鐘を鳴らし、2009年のような鳥インフル大流行の再来の可能性に、万全の備えとウイルスの監視強化で臨むよう呼びかけた。
世界保健機関(WHO)によると、感染力の強いH5N1型のウイルス株が初めて確認されて以来、これまでの感染者は565人で、このうち331人が死亡している。
FAOによると、最も直近の死亡例は今月、カンボジアで確認されており、今年に入ってからは8人が感染し、その全員が死亡している。
カンボジアのほかにも、最近ではブルガリア、イスラエル、モンゴル、ネパール、パレスチナ自治区、ルーマニアで鳥インフル感染が確認されている。(AFP)>
いま中国で感染が広がっているH7N9型は、H5N1型よりも人に感染しやすいタイプに変異したウイルスとみられている。だが詳しい感染経路は分かっていない。
鳥からヒトへの感染なら感染範囲が鳥に接触した人だけに限られるが、ヒトからヒトに感染するようになると爆発的な「伝播力」を持つ。WHO(世界保健機関)の中国事務所は「現時点では、ヒトからヒトへの感染が広がっているという事実は確認されていない」としながらも次のように警告した。
<中国でのH7N9型の鳥インフルエンザウイルスに関して、WHO=世界保健機関の中国事務所は、「ヒトからヒトへの感染が広がっているという事実は確認されていない」と改めて説明する一方、ウイルスの遺伝子が変異していないかなどを注意深く監視し続ける方針を示しました。
中国では、H7N9型の鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染が相次いでおり、これまでに88人が感染し、このうち17人が死亡していて、同じ家族内での複数の感染も確認されています。
これについて19日、北京で記者会見したWHO中国事務所のマイケル・オリアリー代表は、「家族内での限定的なヒトどうしの感染が起きた可能性も排除できないが、別々に感染したことも考えられる。現時点では、ヒトからヒトへの感染が広がっているという事実は確認されていない」と述べました。
その一方、これまでの調査の結果、感染者の半数以上は鳥との接触が確認されていないと指摘したうえで、ウイルスの遺伝子が変異して、よりヒトに感染しやすくなることも考えられるとして、今後も注意深く監視し続ける方針を示しました。
また、オリアリー代表は、WHO本部やアメリカのCDC=疾病対策センター、それに中国の衛生当局から合わせて15人の専門家がこれから数日間、感染者が入院している上海と北京の病院などを回り、感染ルートの解明を進めることを明らかにしました。(NHK)>
しかし日本の国立感染症研究所は「ヒトへの適応性を高めており、パンデミック=世界的な大流行を起こす可能性は否定できない」と警戒を強めている。
<中国で感染者が相次いでいるH7N9型の鳥インフルエンザウイルスについて、国立感染症研究所は「ヒトへの適応性を高めており、パンデミック=世界的な大流行を起こす可能性は否定できない」とする初めての評価結果をまとめました。
国立感染症研究所はH7N9型の鳥インフルエンザウイルスについて、感染した人たちの経過やウイルスの特徴など、これまでに集めた情報を分析し、国内での対策の基礎資料となる評価結果をまとめました。
それによりますと、現時点で、ヒトからヒトへの感染は確認されていないものの、ヒトへの適応性を高めていることは明らかで、新型インフルエンザとしてパンデミック=世界的な大流行を起こす可能性は否定できないとしています。
その根拠として、ウイルスはヒトののどや鼻に感染しやすく変化している可能性があるうえ、症状が現れない鶏や野鳥、それにブタに広がってヒトの感染源になっている疑いがあることなどを挙げています。
また、抗ウイルス薬の効果が期待できることから、早期の治療によって重症例を減らせる可能性があるとしたうえで、国内での対策としては、当面、中国から帰国して、発熱などの症状がある人に積極的に検査を行う必要があるとしています。
国立感染症研究所は今後も1週間から2週間おきにH7N9型の鳥インフルエンザウイルスのリスクについて評価を行い、公表していくことにしています。(NHK)>
国内ではH7N9型の発症例が、まだ確認されていないが、すでに”渡り鳥”によって持ち込まれている可能性も否定できない。中国からシベリアに”渡り”があって、シベリアから日本に別の”渡り鳥”を介してH7N9型が持ち込まれ、養鶏場のニワトリやカラスに伝播するケースが考えられる。用心しておくに越したことはない。