書評 『評伝 若泉敬――愛国の密使』 宮崎正弘

「現代の橋本左内」と機密漏洩テロリストを一緒には論じられない。若泉敬の愛国が蘇る力作、その保守思想家にして行動者への思い入れ。

<<森田吉彦『評伝 若泉敬――愛国の密使』(文春新書)>>
若泉敬――懐かしい名前である。「愛国の密使」という副題もなかなか考え抜かれている、と思った。沖縄返還の密使として日本外交の舞台裏で大活躍した若泉は、国士でもあり、伝統保守主義でありながら、歴史家アーノルド・トインビーの文明論にも惹かれ、国際的な視野にたって、外交安全保障分野では数々の論文を書き残した。若き頃から『中央公論』などで大活躍だった。

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ヒトラー礼賛論者だった大島大使 古沢襄

英米と決別してナチス・ドイツと同盟関係を結んだ戦前の日本の歴史については、多くの研究書が著されているので、私が駄文を連ねる必要がない。戦後、平凡社の歴史事典編集部でアルバイトの原稿取りを二年ほどやったことがある。

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