1338 広がる格差社会 古沢襄

新しい年を迎えた。今は満年齢で齢を数えるが、昭和ヒトケタの世代は数え年で齢を数えて育った。新年は家族が揃って一歳の齢を重ねる。正月のお雑煮を食べながら一家で新しい年を迎えた喜びを覚えたものである。
その風習は残っていると思うが、家族が揃って一歳の齢を重ねる感慨はない。満年齢の方が遙かに合理的なのだが、数え年が持っていた良き風習というか、伝統が消えていったのは寂しい。
核家族化によって一人住まいの老人が増えている。長寿国となった日本だが、家族の絆は昔より弱まったのであろう。むしろ老人仲間といったヨコの付き合いやグループ、サークル活動が盛んになった。その分だけタテの家族という意識が希薄になっている。
韓国や中国、フィリッピンなどでは大家族主義が残っているという。敗戦後の日本は欧米化が急速に進んだから、アジア的な大家族主義が崩壊して、個人主義的な核家族化が徹底した。合理的で良い面も多々あるが、その弊害も出ている。
最大の弊害はグローバリズムの名の下で進行している弱肉強食の横行であろう。市場主義は国の競争力を高めるかもしれないが、勝てる者と敗者の二極分解が”格差社会”を生んだ。勝つためには手段を選ばない風潮が社会の歪みを大きくしている。
西欧的な価値観では律しえない新たな悩みを日本社会は抱えている。とはいえ戦前のような大家族主義に戻ることは、およそ不可能である。さりとて弱者救済の手段は借金財政の底に沈んだ日本では限界がある。
その底から新しい国造りを目指す処方箋は、与野党ともに示していない。あるのは選挙目当ての足の引っ張り合い。国民の閉塞感は、いずれ強力な国家指導者を求める方向にいくのではないか。
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