2612 小沢流のわかりにくさ 岩見隆夫

今年、政治は漂流していた。党首たちの1年を振り返ると、自民党は福田康夫前総裁が突然途中下車し、後継の麻生太郎総裁はいま、逆風に身をさらしている。
公明党の太田昭宏代表は与党内の発言力を増したものの、連立維持に悩まされどおしだった。共産党の志位和夫委員長、<蟹工船>ブームで面白い風が吹く。
社民党・福島瑞穂党首、国民新党・綿貫民輔代表は小党ながらともに挑戦的だった。そんななか、民主党の小沢一郎代表だけが追い風を背に、にらみを利かせているように映る。
だが、小沢は政界で好感を持たれていない。謎が多いことと、周期的に繰り出してくる策略に警戒感が強いからだ。
謎といえば、昨年暮れ、政界の内外を震撼(しんかん)させた大連立騒動の真相はいまだにすっきりしていない。それが、来年にかけての政局の行方にも、一種の影を落としているのだ。
なぜ参院選で圧勝した小沢民主党が、負けた自民党の政権に入っていこうとしたのか。当時、政界の内側でも諸説入り乱れたが、いずれも説得力を欠いていた。
その後、関係者の話などで少しずつ判明したのは、まず福田首相(当時)側から連立構想を持ちかけたと伝えられたのは間違いで、小沢側が積極的に誘いかけていたことだ。
昨年9月、福田が自民党総裁に選ばれた時、首相に指名された時、組閣に着手した時、小沢はそのつど連立を持ちかけたが、福田は乗っていない。4度目にやっと具体化し、2人の会談(10月30日、11月2日)が実現、いったん合意に至った。
小沢がそれほど執念を燃やした狙いは何か。密談のなかで、小沢は、
「参院選でバラマキ政策をたくさん出したから、せめて半分ぐらい(連立政権のなかで)実現させたい」などと語ったという。
また、「民主党の連中は、いまはおれを神格化しているが、いずれみんな離れていく」とも言っている。しかし、それが意図のすべてとは思えない。
「13回当選で残っている同期5人のうち、羽田孜、森喜朗は首相、綿貫民輔、渡部恒三は衆院の正・副議長に就いた。だから、せめて副総理ぐらい、と考えたんじゃないか」と4人の一人が話したそうだが、信じがたい。
騒動から約8カ月が過ぎたころ、小沢はインタビューに答えて、
「あれは自民党を壊すための手段の一つだった。民主党が政権を取るためにはどういう方法がいいかという話だ。そこがみんな、よくわからないんだね。
だから、自民党内で本当に政治がわかっている人たちは、大連立に大反対だった。本能的に、これはまずい、危ないと感じたんだろうね。あの時は、政権交代の準備をする最大のチャンスだった」(6月22日付「朝日新聞」)
と真意らしいことを語った。しかし、わかりにくい。
福田首相・小沢副総理でコンビを組むことに一度は合意していたというから、福田を補佐しながら自民党政権を壊す、いわば、乗っ取り作戦だ。「三国志」を読んでいるようで、ピンとこない。
「いまはもう、そんな気持ちは全くない」(同)とも言っていたが、先日は、
「超大連立……」
と漏らして、またも小沢の仕掛け、と騒がれた。麻生政権が行き詰まったので、超党派の選挙管理内閣を作ろう、という。大連立の変形だが、非現実的だ。
来年は大乱の兆し、謀(はかりごと)は密なるをもって、ということかもしれないが、小沢流のわかりにくさは困る。(敬称略)
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