1681 ”人権”より”実利”の欧州 古沢襄

韓国の三大新聞というと朝鮮日報、東亜日報、中央日報。いずれも保守系なのだが、中央日報は保守のイデオロギーよりも実利的な面がでるカラーが特徴。それだけに時折、面白い記事が出ている。
「チベットにはノーコメントの欧州」の記事は、建前の”人権”と”実利”は別物というヨーロッパの素顔を鋭く分析をしている。この切り口でアメリカをみると、人権派のペロシ米下院議長が厳しく中国批判している一方で、ブッシュ大統領はノコノコと北京オリンピックの開会式にでるつもりでいる・・・このダブル・スタンダードの謎が解ける。
台湾の馬英九が「チベットでの事態が悪化すれば、われわれは五輪に選手を派遣しない可能性も検討する」と言っても、にわかに信じないのは、アメリカナイズされた馬英九のことだから”人権”よりも”実利”をとると思うからだ。中国はそれを見透かしている。
<欧州の各紙には連日、チベット人をたたく中国兵士の写真が掲載されている。相当数の欧州のマスコミは、チベット騒乱に関連、中国に対して批判的立場を示す。人権問題を取りあげてのことだ。欧州は「人権先進国」だ。
数日前、パリの中国大使館では、チベットデモ隊の一人が大使館によじ登り、中国国旗を掲揚ポールから引きずりおろし、その代わりに中国政府が禁じているチベットの旗を結びつけた後、逮捕された。デモ隊がパリを選んだ理由は、パリが人権先進国・欧州の中心だからだ。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」の本部もパリにある。
最近、セルビア領土に住んでいたコソボ人が独立を宣言したとき、西ヨーロッパは一斉にコソボを国家承認した。冷静に考えてみれば、コソボは国際法上に、明白なセルビアの領土である。独立問題もセルビア政府が決めるべきことだ。それにもかかわらず、英国・フランス・ドイツなどがコソボのために圧力をかけて、掲げた名分は人権だった。
ところが、欧州諸国はチベット暴動にはまったく触れずにいる。フランスのクシュネル外相が個人的に示した「北京五輪・開幕式の不参加」発言が唯一だ。それさえも通り一遍に思われる。コソボのときとはあまりにも異なる。欧州は何故こうだろうか。答えは中国の経済力にある。
中国は昨年、日本に続きルイ・ヴィトンの二番目の消費国になった。ルイ・ヴィトンは、世界トップの仏高級ブランドグループである「LVMHモエへネシー・ルイ・ヴィトングループ」を代表するブランドだ。2015年になれば、中国は全世界の高級ブランドの3分の1を消費する国になるという。
高級ブランドの大国、フランスが中国に対し「チベット人権弾圧」と激しく批判する場合、どんなことが起きるだろうか。中国がじっとしているわけがない。中国で仏高級ブランドの不買運動が広がれば、パリは大騒ぎになるだろう。他の欧州諸国も同様だ。数億~数十億ウォンもする高級乗用車のポルシェ(ドイツ)やフェラーリ(イタリア)の中国への輸出も毎年2桁成長を続けている。
これだからドイツもイタリアも中国を軽視できない。英国は最近、中国に2000億ドル(約200億円)に相当するファンドの開設を要請した状況だ。チベット騒乱に対する欧州の沈黙は、このように簡単にお金の論理で説明できる。冷厳な国際社会の現実かもしれない。それでも人権先進国といわれる欧州の「二重態度」を見ているようで残念に思える。(中央日報)>
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