新聞では大きく扱われていないが、新党日本(代表・田中前長野県知事)の荒井広幸幹事長と滝実衆院議員が離党して無所属となった。沈没しかけている舟からネズミが二匹逃げたという程度の捉え方なのだろうが、事はそれほど単純でない。無所属議員に対する自民党への復党話が、新党日本にも及んでいる。
自民党を離党している亀井静香、荒井広幸、平沼赳夫、野田聖子らは、保身よりも主義主張に走る傾向が顕著。安倍首相も、このタイプだ。郵政造反組に安倍首相の友人が多いのは、決して偶然ではない。小泉首相から安倍首相に代替わりして、復縁話が水面下で急速に進んでいることを示した”氷山の一角”とみるべきであろう。
このことは国民新党、新党日本とスクラムを組み、来るべき参院選で安倍自民党に一泡吹かせるつもりでいた小沢民主党にとって打撃となった。小沢民主党は足下をもう一度踏み固める必要がありそうだ。逆風が民主党に吹きつけていると言ってもよい。
そこに降ってわいたようにイケメン・細野豪志衆院議員の“不倫愛”が暴露された。参院選という天下分け目の決戦を控えているのに、こういうイメージ・ダウンの不祥事が起こるのだから、小沢代表も病院で歯ぎしりしているのではないか。
国民新党は二日、新党日本との統一会派を解消する会派異動届を衆参両院の事務局に提出したが、対象となる新党日本が雲散霧消の状態だから仕方ない。その国民新党も衆院五人、参院三人のヒトケタ・ミニ政党。自民党と民主党の勢力が拮抗すれば、キャッシングボードを握る大戦略も怪しくなる。
荒井氏は福島県では人気がある。自民党が敗北した二〇〇四年参院選では、自民党比例代表で十七万票以上とっている。ネズミといっても、かなり大きいネズミ。もともと安倍首相の側近といわれていたから、参院の首班指名選挙で「安倍晋三」と書いたのは、自分の主義主張からすれば、当然のことと胸を張っている。
荒井、滝両氏が抜けた新党日本は、議席がない田中代表、衆院議員だった小林興起氏(東京10区)と 青山丘氏(比例東海)は落選中。参院議員は国民新党から数合わせで移籍した長谷川憲正氏(比例区)一人となった。長谷川氏も国民新党に出戻りするしかなかろう。
小沢民主党は参院選の一人区で29選挙区の中20選挙区以上を獲得する目標を立てている。安倍自民党が”小泉劇場型”の選挙をやれば、その可能性があった。いい例が衆院千葉七区の補欠選挙。小沢代表は陣頭指揮をとったが、”風頼み”を排して企業回りや労組への”草の根”選挙に徹している。
小沢型の組織戦術に対して自民党は造反組に送り込んだ刺客女性議員を総動員した”小泉劇場型”の選挙。小泉首相の街頭演説には毎回二〇〇〇人を超える聴衆が集まったが、小沢代表の街頭演説は数百人どまり。永田偽メール事件や民主党の女性候補が元キャバクラ嬢という逆風をハネ返して民主党が勝った。
冷水を浴びせかけられた自民党は参院選挙対策を根本から見直している。千葉七区の補欠選挙は”反面教師”となった。刺客女性議員を前面にだした劇場型選挙から小沢流の組織選挙を取り入れる敵前回頭に舵を切った。
安倍内閣の組閣人事では予想された刺客女性議員の抜擢がなかった。狙いは造反議員の復党に絞られている。”刺客”と”造反”は両立しない。この流れの中で荒井議員らの無所属入りをみておく必要がある。沈没しかけている舟からネズミが二匹逃げたと揶揄するのは自由だが、水面下の動きは違うところにあると見ておくべきであろう。
225 沈没舟からネズミが二匹逃げたのか? 古沢襄
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