439 ”桜散る”か”桜咲く”のか 古沢襄

安倍首相は昨年の自民党総裁選に立候補する際に、参院選で挙党一致で臨むためには、郵政造反で離党した無所属議員の復党が欠かせないと述べていた。各都道府県で自民党組織が分裂したままの状況で選挙戦に入るのは、民主党を利するだけだという判断が根底にある。
この安倍首相の判断に郵政総選挙で当選してきた新人議員が反発していたが、中川幹事長が無所属議員に限って復党を認める方針を固めて、誓約書の提出を求めて復党を容認した。この結果、安倍内閣の支持率が低下の現象をみせている。
支持率低下については二つの見方がある。ひとつは造反無所属議員の復党そのものに世論が反発したという見方。もうひとつは復党に際して中川幹事長がとった誓約書提出のプロセスが、時間をかけ過ぎて世論の反発を大きくしてしまったという見方。
安倍首相にしてみれば、中川幹事長が電光石火の復党処理をしていれば、事はこれほど大きくならなかったという思いが残ったのではないか。そこに追い打ちをかけたのは、柳沢厚生労働相の「女性は子どもを産む機械」発言。安倍内閣の不支持率が支持率を上回る危機的状況を迎えている。
それだけでない。このところ「内閣改造をしないと参院選まで持たない」「ベテラン閣僚に首相を立てる尊敬の念が欠如している」「内閣の番頭役である塩崎官房長官は人望も指導力もない」といった内閣批判が自民党内から公然と噴き出す様になった。
二十三日、安倍首相は慎重論に立つ中川幹事長を押さえる形で、郵政民営化法案に反対して総選挙で落選、自民党を離党した衛藤晟一氏を復党させる意向を固めた。自民党は近く党紀委員会を開き、手続きに入る。復党を認めた上で、同党は衛藤氏を今年夏の参院選比例区の立候補予定者として公認する方針。
これは思いつきでもなければ、世上いわれている衛藤氏との友情でもない。さらなる支持率低下も覚悟した上での決断でないか。次ぎに打つ手は参院選岐阜選挙区で党推薦候補に予定された藤井孝男元運輸相の公認ではないか。「国づくりを一緒にしていきたいという人に自民党に加わってもらうのは当然だと思う」と安倍首相は語り、手続き的には「党紀委員会で議論することになる」としながら「最終的には私が判断する」と言い切った。
安倍手法は小泉手法とは明らかに違う。小泉前首相は自民党内の抵抗勢力と対峙するために世論を味方につけて自民党と対立することも辞さなかった。安倍首相は党内の圧倒的な支持を背景にして誕生している。支持率よりも党内融和、挙党一致に重きを置いているといっても過言ではない。
祖父の岸信介元首相も、大叔父に当たる佐藤栄作元首相も世論よりも強固な党内支持を重視して選挙戦を戦ってきている。いうなら中央突破型の政治家が安倍首相の本来の姿だといえよう。それが吉とでるか、凶とでるかは選挙戦を戦ってみなければ分からない。
現状のままでは顔のみえない安倍首相といわれてジリ貧になっていく可能性が高い。ドカ貧の恐れがあっても、ここは安倍カラーを強烈にだすことによる勝負にでたと私はみている。”桜散る”の心境にあるのかもしれない。そこは如何にも”長州っぽ”らしい頑固な気風といえる。案外”桜咲く”ことになるのかもしれない。腰くだけにはならない方がいい。

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