750 北朝鮮の「贋金つくり」 古沢襄

横光利一の純粋小説論は、アンドレ・ジッドの小説「贋金つくり」が影響していると言われている。北朝鮮が偽ドル紙幣を印刷していると聞いた時に、学生時代に読んだ「贋金つくり」を本棚で探したのだが見つからない。
偽造紙幣は相手国の経済を混乱させる目的で、国家ぐるみで行う戦略兵器となることがある。日本経済を本格的に混乱させようと思えば、精巧な一万円札を大量にバラ撒けば、ある程度の目的を達成することができる。
だが北朝鮮の偽ドル紙幣は、外貨不足の穴埋めだというからいじましい。とはいうものの米国の調査報告書では、偽百ドル紙幣の国外での流通総額は四五〇〇万ドルにのぼるという。日本円で五〇億円になるから”いじましい”なんて言っておれない。
摘発された偽百ドル紙幣はヨーロッパ、中南米、中国、モンゴルで総額四〇〇万ドル。流通総額の十分の一に過ぎないが、それでも巨額である。エプソンのカラー印刷機でシコシコと粗雑な偽一万円札を造っているのとは訳が違う。
もちろん北朝鮮は、この国家犯罪を認めていない。韓国は北朝鮮の国家犯罪があったことを認めながらも、北朝鮮政府の関与は十年前に終わっていると理解がある。南北融和政策を進める盧武鉉政権にとって、あまり騒ぎ立てたくない事柄なのだろう。
しかし米国は北朝鮮当局による偽造は今も続いているとしている。ヒル国務次官補にとって頭の痛い問題なのだが、北朝鮮の核放棄を優先して目をつぶるということではないか。
<【ワシントン=古森義久】米国議会調査局は「北朝鮮の米国貨幣偽造」と題する報告書をこのほど作成した。同議会上下両院議員の審議用となる報告書は米国当局の見方として、北朝鮮政府がなお米国の百ドル紙幣の偽造を続け、現在の国外での流通総額は少なくとも4500万ドル相当で、その使用により年間2500万ドル程度の利益を得ていると述べている。
同報告書は米国政府の情報当局や財務省、さらに韓国や日本からの情報をもとに、北朝鮮が年来、国家ぐるみで百ドル紙幣の偽造を続け、外貨不足の穴埋めのほか、大量破壊兵器の技術取得、政府関係者の外国旅行、外国のぜいたく品購入などに充てている、としている。
実際の例としては2005年8月に米国司法当局がニュージャージー州とカリフォルニア州で中国系犯罪組織を摘発した際、北朝鮮製の偽造百ドル札400万ドル相当を押収したケースなどがあげられ、イギリス、東欧諸国、ペルー、パラグアイ、モンゴル、香港、エチオピアでの北朝鮮製百ドル偽紙幣の発見が記されている。
同報告書は北朝鮮政府がこの国家ぐるみの紙幣偽造を否定し続け、韓国政府の情報機関も北の政府の偽造工作を認めながらも、「政府の関与は1998年ごろで終わった」という見解を示していることに対し、「米側の情報や判断では98年以降もなお北朝鮮当局が偽造を続けている」と反論している。(Sankei Web 2007/07/08 23:58)>

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