4260 米軍、パキスタンに高性能武器を大量に供与 宮崎正弘

国連は選挙監視団を大幅に縮小、テロの猛攻に減員。アフガニスタン大統領選挙のやり直しを妨害する目的だけではあるまい。10月28日に起きたアフガニスタンとパキスタンで連続爆破テロは、その爆破力、犠牲者の数、テロリストのネットワークの不気味さを勘案しても、あまりにも大胆であり、同時にアフガン、パキスタン両国は事実上の無法地帯であることを世界に晒した。
カブールのゲストハウスでの銃撃戦は警察官を装ったテロリストがAK47で武装し、宿泊中だった外国人、とくに国連職員ら六名が殺されたが、選挙管理のためのスタッフだった。
しかも犠牲の殆どが女性だった。女性に容赦をしないのが本物のイスラム教徒である筈はないだろうが、タリバンは巻き添えの犠牲に一切の憐憫を抱かないようだ。警備していたのはアメリカ兵で、銃撃戦で一人が死亡、テロリスト三名を射殺した。
「やり直しであれ、なんであれ選挙に参加する者への警告でしかない」とタリバンのスポークスマンは世界のマスコミにメッセージを送り犯行を認めた。
国連はカブールでの選挙管理、監視チームの減員を発表した。ことし、すでに国連職員ならびに関連のスタッフは23名の犠牲がでているためだ。
同じ日、パキスタンを訪問したクリントン国務長官がパキスタン政府高官と会談中にペシャワールで爆破テロが起こり、八十七名が死亡(人数はヘラルドトリビューン、10月29日付け)。
「クリントン歓迎爆破? アフガン国境の街で選挙やり直しへの警告と南ワジリスタン攻撃への報復である」とタリバン側は声明を出した。現場は小さな小売商、露天が密集する商店街で135キロ爆弾が車に仕掛けられていた。
ペシャワールはアフガニスタンとの国境に近く、カイバル峠へは、ここから二時間のドライブ、この街は難民が三十万。このテント村で生まれた世代がはやくも成人しているうえ、世界的には武器密造の街として知れ渉っている。前首相が愛読した『ゴルゴ13』にも、よく武器密売人らの交流の場所として描かれている。
アフガンとパキスタンの北西部で国境を接するのが南ワジリスタン。先週来、パキスタン軍三万が、この地でタリバンへの攻撃を仕掛けている。
ヘラルドトリビューンに依れば、米軍はこの攻撃にそなえて高性能武器を大量に供与したという。夜間ゴーグル、防弾チョッキのほか、高性能センサー、武装ヘリコプターはMi-17輸送機を十機、コブラ攻撃ヘリの部品。また無人偵察機が撮影したヴィデオ情報も提供している(同紙、10月30日付け)。
▲カルザイ大統領の一族は汚職・腐敗のシンボル化
カルザイ大統領の評判は米欧ばかりか、地元でも悪い。『米国の傀儡』というのはパシュトン族いがいの一般的反応だが、タリバンの多くがパシュトン族でもあり、北部同盟のアブドラ(カルザイに迫る大統領候補)はウズベク人との混血、カルザイと連携するファヒムはタジク人。所詮、人口比から言ってもアブドラが選ばれる可能性は希薄である。
またCIAから資金援助をうけ、麻薬密輸でも巨額を稼ぐという噂が蔓延しているカルザイ大統領の弟はワリ・カルザイ。
過去八年に亘ってCIAは、秘密工作のため、この男に軍資金を手渡して情報を得ていたばかりか、カンダハルの多国籍軍の拠点のひとつ、とくに特殊攻撃部隊はタリバンの精神的指導者=オマル師の旧居。大邸宅に駐屯している。これも、弟の工作の結果という。カルザイ兄弟は、このカンダハルが故郷だ。
ドロンと呼ばれる無人攻撃機は米軍のハイテク兵器の代表だが、これによる攻撃でタリバン幹部の移動をキャッチし、出撃して攻撃、目標を的確に破壊した。
しかし、破壊した車や建物からでてきた遺体がタリバンやアルカィーダではなく、密告情報を提供したアフガン人が、地元で対立してきた政敵を偽情報で狙ったという悪質なケースも、じつは夥しい。
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