アメリカの中間選挙ではラジオの保守派トークショーの論客たちが大きな威力を発揮しました。いずれも強烈な反オバマ、反リベラルの人たちです。その人たちについて記事を書きました。
米国の有力週刊誌ニューズウィーク最新号が米国内で政治パワーを発揮する50人の名前を発表した。その最上位にはラジオの保守トークショーの主宰者たち が名を連ねた。
このところオバマ大統領が代表する民主党リベラル統治への国民の反発が広がる中、ここでも保守主義の勢いの高まりがみられるようだ。
影響力と収入で1位とされたのはラジオ聴取者数でも全米第1位のラッシュ・リムボウ氏だった。2位はテレビの政治トーク番組のグレン・ベック氏、3位はラジオのトーク番組のショーン・ハナティ氏、4位もテレビのトーク番組のビル・オライリー氏と、いずれも保守派が最上位を独占した。
中間選挙でもこれら保守派の、とくにラジオのトークショー番組は大きな役割を果たしたようだ。これら番組の主宰者たちは選挙中、オバマ政権と民主党議会首脳に激しい非難を浴びせ続けたのだった。
全米に千万単位の多数の聴取者を持つこれら論客たちは保守主義の主張を明確にし、一般有権者のオバマ離れや「ティーパーティー(茶会)」支持層をも拡大したようだ。
米国のメディアの政治基調は新聞やテレビでは圧倒的に民主党寄りが多いのに対し、ラジオは保守派のトークショーが主流を占める。
この政治トークショーは特定の政治活動家やジャーナリスト、学者らが主宰し、自分の意見を述べ、聴取者の参加を求める方式で全米のメディアの中でも一つの大きな地盤を確立している。
首都ワシントン地区でも主要ラジオ局WMALでは正午からの3時間が毎週平均1500万の聴取者を持つリムボウ氏、その後の午後6時までがハナティ氏、同6時から9時までがマーク・レビン氏と、みな保守の論客のトークショー番組がなんと9時間も続く。
このうち保守トークショーの拡大をとくに象徴するのはレビン氏で、この1年間に聴取者が毎週625万から850万以上へと飛躍し、放送も1日1時間が3時間になってしまった。
レーガン政権の高官で法律学者のレビン氏は「オバマは巨大な政府で国民の自由を抑圧する危険な社会主義者だ」という過激なメッセージの発信に終始している。
リムボウ氏も「民主党のペロシ下院議長とリード上院院内総務は民間活力を政府介入で抑え、ビジネスを敵視して不況を長引かせている」というような批判をユーモア交じりに繰り返す一方、保守主義の中核の「小さな政府」策を唱えて反オバマの対決姿勢をとる茶会に声援を送る。
その活動ぶりは民主党寄りのニュー ヨーク・タイムズの政治評論で「共和党の今回の優位は同党の頭脳と精神の役を果たしたリムボウ氏が最大の貢献者だ」とまで評されたほどだった。
毎週1400万の聴取者を有するハナティ氏は全米第2位だが、茶会支持や共和党の主要政治家を番組に頻繁に登場させることでも知られる。
同氏はジャーナ リズムならば中立が求められるべきだという批判に「私は政治の解説者、主張者であり、ジャーナリストではない」と明確に答えた。
これら保守派のラジオ論客が11月2日の中間選挙での共和党側の大勝利にどこまで実際に寄与したかを科学的に判定することは難しい。
だがこの種の番組の聴取者数がこの1年内に着実に増えたことは証明されており、一般国民の間に保守主義をより深く、広く訴えることに大きく関与してきたことは明白である。
一方、民主党側もこの種の番組を敵視し、オバマ大統領までがリムボウ氏の実名をあげ、何度も反撃してきた。最近も民主党全国委員会のケイン委員長は「リ ムボウ氏ら保守の語り手たちは虚偽の情報や憎悪を広め、民主党がその過激な戦術で勢いを減らしてはならない」と警告していた。
だが保守派ラジオ側も「自分たちこそオバマ政権の危険な社会主義的リベラル政策を阻止するうえで大きく貢献した」(ハナティ氏)と負けていない。
杜父魚文庫
6682 アメリカの保守派ラジオ論客の威力 古森義久
古森義久
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