米中軍事交流の報告の続きです。日本ビジネスプレスの古森義久の連載コラム「国際激流と日本」からの転載です。米中軍事交流のレポートではこれが完結です。
今回の中国軍総参謀長の訪米ではオバマ政権が中国の言葉を誤解し、振り回されたという総括評が重点です。原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/9806
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共産党独裁の中国では、軍事の戦略や兵器に関して、すべて秘密にされたままである。誰がどのように新兵器の開発や配備を決め、新たな戦略を打ち出す のかは、外部から見ても、いや、中国の国民自身にもまったく分からない。
不透明なのである。米国側はこの点をいつも批判してきた。その批判は、今回の両軍 首脳会談でもまた表明されたというのだ。
両国で異なっていた「尊重、互恵、対等」の意味
こう見てくると、陳総参謀長の訪米による米中軍事交流は、協力よりも対立の構図をずっと大きく浮かび上がらせたこととなる。対立の諸点が鮮明になったのである。
こうした状況について、米国の専門家は厳しい見解を表明した。米国議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」の委員ラリー・ウォーツェル氏は次のように論評した。同氏は米陸軍出身の中国軍事研究のベテランである。
「米中両軍首脳の間で合意されたという『相互の尊重と互恵』、あるいは『対等』という言葉の用法を、米国が誤解した側面が大きい。
中国側にとって、『尊重』や『互恵』は、台湾への武器売却や中国への偵察など、中国が反対する行動を、米国が停止するという意味である。一方、米国が中国に、台湾への武力行使の禁止や排他的経済水域(EEZ)内での軍事偵察の許容を求めることは含まれていない」
「米国が台湾に武器を売るのは、中国が台湾への武力行使の可能性を宣言しているからだ。米中軍事交流が『対等』を貫くなら、米国が中国に台湾への武力不行使を求めてもよいはずだ。だが、中国はそれを認めない」
「米軍の対中偵察活動は国際的に認められたEEZ内部での動きである。中国はそれを一方的に禁止しているわけだが、米国がその禁止に従うことが、中国の主張する『相互の尊重』となる。
オバマ政権の国家安全保障会議(NSC)はこうした点で中国側の用語法を誤解し、効果的な対応ができなかったと言える。今回の会談と会見は、米中両国間の基本的立場の相違をかえって鮮明にしてしまった」
この現実的な見解が、今回の米中軍事交流の真実を照らし出したと言えそうである。(完結)
杜父魚文庫
7984 オバマ政権は中国を誤解した 古森義久
古森義久
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