11269 安倍政権は「左傾化」?  古森義久

安倍晋三氏へのレッテルについてのさらなる論評です。
近年の世界の現実を規準とすれば、もし安倍政権が軍事力を強くするというのなら(その点の断定も的外れですが)、右ではなく左への旋回でしょう。
なぜならイデオロギー的に最も左翼の中国や北朝鮮こそ軍拡のチャンピオンだからです。
<右傾化ではない、日本は「真ん中」に戻っていくだけ>
■世界で軍事力増強に突き進んでいるのは「左翼」国家
三十数年前の「右旋回」「右寄り」というのは、まさにいまの「右傾化」と同類の表現である。日本の、少なくともマスコミでの安全保障論議というのはなんとも前進のない領域だと実感させられる。
周知のように、そもそも右とか左とは政治イデオロギーでの右翼や左翼を指す。左から右への横軸を描いた場合、その最左翼に位置づけられるのが共産主義や社会主義である。その反対の極が反共や保守独裁のイデオロギーや政体ということになる。
いま日本や米国の一部、そして中国から自民党の安倍総裁にぶつけられる「右傾化」という言葉は、まず、軍事力の効用を認め、国の防衛力を強化することに対してだと言えよう。そこには、国として軍事力を増すことは右に進むことだという前提がある。
だが、ちょっと待て、である。イデオロギー軸で右に動くということは、共産主義、社会主義から離れることを意味する。ところが、いまの世界で持てる資源の最大限を軍事力増強に注ぐ国は中国、そして北朝鮮なのである。
この両国とも、共産主義を掲げる最左翼の独裁国家である。軍事力を増せば増すほど、この左翼の政治モデルに近づくことになる。だから軍事増強は近年の世界では「左傾化」なのである。この理屈に従えば、安倍氏の動きも「左傾化」となる。
このへんの相関関係は論理的にはあまり意味がない。ちょっと突っ込むと、なんとも不毛な議論となる。
要するに日本のいまの動きを「右」とか「左」 と断じるのは、負のイメージを意図的に植え付けること以外に意味がないのだ。結局は「右傾化」などという言葉は、気に入らない相手へのののしり、誹謗の 変形だと評してもよいのである。
まして日本がいかに防衛努力を強めても、核兵器や長距離ミサイルを多数、配備する中国とは次元が異なる。だから中国だけには防衛の整備を「危険だ」などとけなされたくはない、と感じる日本国民は多いだろう。(つづく)
杜父魚文庫

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