<【ソウル=黒田勝弘】韓国の朴槿恵大統領がおよそ33年ぶりに青瓦台(大統領府)に帰還した。去ったのは1979年10月26日に父、朴正煕大統領が側近に暗殺され、長期政権が崩壊したときで27歳だった。
政治的激変の中で茫(ぼう)然(ぜん)自失し、暗(あん)澹(たん)たる気持ちで18年間住み慣れた青瓦台を後にした。しかし今度は大統領としての晴れやかな“帰宅”となった。
彼女は74年にも母をテロで亡くしている。去る時は父母ともになく、妹と弟を連れてソウル市内の旧宅に戻った。政変で父の側近たちも次々そばを離れていった。
“裏切りの季節”である。この経験は彼女のトラウマ(心的外傷)となり、政治家をはじめ近寄ってくる者への不信感は今も残っているといわれる。
しかし父と過ごした18年間は彼女の財産だ。一国の最高指導者のあり方を肌で経験している。今後、何かにつけ「父ならどうしただろう」と考えるに違いない。就任演説でも当時、父が貧困脱出のため国民に呼びかけた経済発展への合言葉「ハミョンテンダ(成せば成る)」を引用した。
ただ時代は当時と違って「豊かな時代」だ。軍人出身で「オレに付いてこい」式だった父親スタイルそのままでは難しい。
帰還にあたっては父がよく描いた水彩画や母の刺(し)繍(しゅう)画など遺品も一緒だった。しかし独身の彼女は広大な官邸では独り暮らしだ。ヨガが趣味だが、日常のストレス解消策が気になる。(産経)>
杜父魚文庫
11850 朴槿恵大統領、青瓦台に“帰宅” 黒田勝弘
黒田勝弘
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