シリアの政府軍が毒ガス弾を使ったので1400人以上の死者が出て、そのうち400以上が未成年者だった。オバマは何度も警告したレッドラインを無視したのでメンツにかけてもシリアを懲罰すると言い出した。アメリカの国会議員はアメリカが攻撃される危険のない限り大統領が攻撃命令を下すことは違憲であると批判した。
実際にシリア攻撃はそんなに簡単ではなく、アサド政権を潰せば反乱軍の新政府が出来るが、イスラム教狂信グループは反米色の濃いブラザーフード、テロ組織のアル・カイーダも加わっている。アサド政権を倒せば米国に不利になる。
オバマはアサド政権を倒すのではなく、二度と毒ガスを使わないように「軽い懲罰」を与えるだけだと発表した。このような懲罰に何の効果も期待できないし、内戦が続けば住民が困るだけである。
また、英国のキャメロン首相は国会にシリア攻撃を提案したが国会は投票で反対したのでアメリカは孤立した。
アメリカ国内ではこのような攻撃は無意味で効果はないと言うものが多い。軽い懲罰でもアサド政権は攻撃されれば戦争を意味するからアメリカの介入はエスカレートすると言う。
オバマとバイデンが上院議員だったとき、ブッシュが国会の許可なく戦争を始めたのは国会無視で憲法違反だから罷免すると主張したのに、自分が大統領になったら国会の許可なくても攻撃できるといいだした。許可なしで攻撃すればオバマ罷免の声が上がる。
オバマは国会の許可はいらないと主張して31日、ホワイトハウスで軍部首脳と攻撃会議を催し、オバマのゴーサインを待つばかりとなった。しかしオバマが45分の散歩から戻ってくると、やはり国会の許可を得てから攻撃を行うと意見を変えて会議の全員が唖然となった。攻撃は国会の夏休みが終わる9月9日以後となった。
●シリア攻撃計画は不十分で不明瞭
大統領命令で攻撃すると言って既に空母を含めた4隻の軍艦を地中海に派遣したのに、国会の許可が要ると言い出したのでオバマはメンツ丸つぶれ、世界の笑いものとなった。シリア政府はオバマの姑息な態度を嘲笑した。
国会は夏休みで9月9日にならないと再開しない。大統領が緊急会議を要求して攻撃許可を受けるべきだが、オバマは緊急会議を要請しなかったので、攻撃は9月9日以後となった。シリアは軍備や兵力を分散して被害を少なくしている。
オバマがレッドラインを越えたから攻撃するのはエゴを満足させるだけと批判する人が多い。ミサイルを何十発撃ってもシリアの毒ガス弾は既に隠匿され見つからない。懲罰は反米感情を高めるだけだ。シリアはアメリカが攻撃すればイスラエルを攻撃すると宣言し、イスラエルはガスマスクを配って戦争体制に入った。シリアがイスラエルを攻撃すれば戦争になり、アメリカも兵力を投入してイラクやアフガン戦争と同様、泥沼にはまる。
攻撃方法にも問題が山積している。誰も計画の詳細を知らない。軽く懲罰するだけなら反米感情を募らせるだけだから徹底的にアサド政権を叩けと主張する議員も居る。アサド政権を倒せば反乱軍を助長する、軽い懲罰は意味がない、内戦が続き、シリアが反撃すれば戦争は拡大する。オバマが国防費を1兆ドルもカットしたので国防部はオバマに反感を持っている。国民は反戦だし、何をやってもマイナスである。この度のオバマは外交、内政で無能と優柔不断で国外、国内で信用ガタ落ちとなった。
●シリア攻撃の後遺症
最も大きな影響はオバマの無能とアメリカの衰退である。オバマが何回も(メディアの発表では13回)レッドラインて警告したけれどもシリアは無視して数回の毒ガス弾を使用したので、アメリカはペーパータイガー(紙老虎)、口先だけの警告では効果がないことがわかった。これはオバマ個人の問題よりもアメリカの威信に関わる問題である。
次に明らかになったのはアメリカ国民の反戦、厭戦気分である。ブッシュがイラクを攻撃した時は支持率が高く、サダムフセインを逮捕、処刑した時はブッシュの人気が高かったが、やがて戦争が泥沼にはまると厭戦気分が高くなり、オバマは国民の反戦気分を選挙に利用して一年内に戦争を終わらせると確約したが、アフガン戦争は今でも続いている。シリア攻撃反対はオバマと民主党の人気に影響する。
パックス・アメリカーナの威信が落ちたあとの懸念は、シリアと同じく、大量の毒ガス弾を貯蔵して平気で使用する国が増えること、イランが核爆弾の開発に踏み切ることである。イランの核開発を最も恐れるのはイスラエルで、既にアメリカが躊躇するならイランの核施設を独自で爆撃すると言う。
●アメリカの衰退はアジアに影響する
アメリカ衰退はアジア諸国に大きな影響を与えるに違いない。アメリカの威信が衰退すれれば中国の覇権拡張を抑えることが出来ず、東南アジア諸国は中国の勝手な領土拡張に悩まされ、尖閣諸島、台湾などで中国との小競り合いが起きる可能性があるが、アメリカは何もしないから日本、台湾の防衛が問題になる。
アメリカは日米安保条約と台湾関係法で、日本と台湾の安全を保障しているがどこまで信用できるのか。例えば中国が尖閣に上陸した場合、または台湾にミサイルを発射して台湾の選挙に警告を与えた場合、アメリカはどうするか。レッドライン警告は役に立たない。
オバマがレッドラインで警告しても中国の侵略に対しアメリカは何もできないかもしれない。北朝鮮が日本にミサイルを発射してもオバマは何もしないかもしれない。
アメリカに頼ることが出来なくなってからでは遅い。日本は早急に憲法改正で自己防衛を正当化すべきである。また、台湾人も早急に独立建国を講じるべきである。また、アメリカも今のうちに東南アジアのみ解決領土の解決を急ぐべきである。(頂門の一針)>
杜父魚文庫
13824 シリア攻撃と米国の威信 Andy Chang
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