14485 「ウイグルの計画テロ」と断定 その真偽は?   古澤襄

■事件めぐる3つの謎
<【北京=矢板明夫】北京中心部の天安門広場で発生した車両突入事件で中国当局は「新疆ウイグル自治区の独立を目指す組織によって綿密に計画されたテロ」と断定した。しかし、開示された情報が少ない上、疑問点も多く存在し、北京のウイグル族支援者らの間では、この結論を疑問視する声もある。事件の3つの謎を検証すると…。 
ウイグル族支援者らが最も注目しているのは突入事件で死亡した3人の容疑者のうち、2人が女性で息子夫婦と母親という家族だったことだ。イスラム過激派によるテロ事件は世界各地で起きているが、実行役に選ばれるのは若い男が圧倒的に多い。

警察が女性に対するチェックが甘いことを逆手にとって女性が選ばれることもあるが、新疆では女性を実行犯とする暴力事件はほとんど起きていない。
とくに、70歳とされる母親をわざわざ同乗させたことは不可解だ。ある弁護士は「テロ組織が関与していれば、より確実に任務を遂行させるため、違うメンバー構成にするはずだ」と指摘する。
香港メディアはこの家族の親族が6月の同自治区での暴動で警察に射殺されたと伝えている。事実なら、事件は絶望した3人が当局への抗議の意味を込めて一家心中を図ったと見た方が自然かもしれない。
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中国当局は事件に関与したとされる5人のウイグル族を事件の約10時間後、10月28日午後10時ごろに拘束した。しかし、それを発表したのは2日後の30日夕方だった。共犯とされる容疑者を確保していたにもかかわらず、29日になってから北京市内のホテルなどに死亡した3人を含む8人を指名手配する通達を出した。
実行犯の車両から宗教的な内容が書かれた旗が発見されたと発表されたが、「車両が燃え尽きて骨組みだけになったのに旗が残っているのはおかしい」との疑問点を指摘する関係者も多い。

海外のウイグル人組織の関係者は「29日に中国の各大都市でウイグル族への無差別的な取り調べが行われた。中国当局は今回の事件をむりやり海外ウイグル人組織と結びつけてウイグル族への弾圧を一層強化した」との見方を示した。
事件は中国の中心部にある天安門が狙われたことを中国当局が強調し、政治目的のテロであることの裏付け材料としている。
しかし、新疆ウイグル自治区内では今年だけでもウイグル族による抗争事件が10件以上発生。多くの死傷者を出したが、中国当局が情報を遮断するために社会的反響は小さい。
一方、外国メディアが集まる北京で事件を起こせば、世界的に注目される。このため、漢族の陳情者も最近、北京で暴力事件を起こすケースが増えている。今回の事件も政治目的より社会の注目や関心を集めたいとの意図で北京で起こされた可能性がある。(産経)>
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