15130 中国軍が陸海空の三軍を統合して運用計画   宮崎正弘

■でも出来るかな?有事即応型の近代的な軍システムへの移行は共産主義を捨てなければ無理
2014年1月1日の読売新聞。一面トップ記事が「中国軍、有事即応型にーー陸海空を統合運用、7軍区を5戦区に」と大きく扱い、この見出しだけ見れば、明日にも、中国人民解放軍が欧米型の近代システムに移行できるかのようである。
よく記事を読むと、「そういう議論は人民海軍の内部でもあり、五年ていどをメドに実現が出来れば良いな」という程度の「機構改革案」にすぎないことが分かる。
ほかの新聞は無視、もしくは別確度からの記事があるが、日経は1月6日になって外電の隅っこに「合同作戦司令部を検討か」と英字新聞『チャイナ・ディリー』に出ていることだけをさらりと伝えた。
じつは、この改革案の情報はすでに昨年11月から流れており、香港の『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙(中国名は「南華早報」)も、1月3日付けで大きく報じてはいるが、「中国国防部は具体的な日程表を提示しているわけではない。将来的な構造改革案の詳細もまったく提示されていない」とした。
具体的な計画で唯一明らかなのは「七大軍区」を「五大戦区」とすること。「戦区」という銘々は戦争実戦部隊と基地を意味するから、それだけでも凄いことなのだが、「七軍区」のなかの済南、広州、南京各軍区を一括し、さらには各戦区に「合同作戦司令部」を置くというもの。
統幕本部ではない。日本のような、或いは米国のような『統幕議長』をどうするのか。「合同作戦指令部」って、それじゃいったい何だ?
『統幕』とはそもそも各軍の参謀長が集まる総合作戦立案本部であり、中国の軍事組織では『党中央軍事委員会』が、これにあたるといえば、図式上はそうなる。
▼習近平がめざす「海洋強国化」とは何か?
読売新聞が軍幹部のニュース源から取材しての感触では、「海洋強国化」を狙う習近平政権が、海洋でのオペレーションの統合性、整合性をもたせるというのが原初的理由であり、現行システムでは「済南軍区」に所属する青島が黄海、「南京軍区」が東シナ海、そして「広州軍区」に含まれる海南島が南シナ海を睨む布陣となっているが、これが統合され、空母部隊が本格化すれば、各軍区にばらばらだった命令系統が効率的に作動することになる。つまり東海艦隊、北海艦隊、南海艦隊が組織的には『海軍』となって統合されるわけだ。
しかし、このような改革案は中国軍人の体質を考えると、まさに「夢」である。団体行動ができない。後ろから督戦部隊が前線の兵士に鉄砲をうつので、後退ができない軍隊。統幕議長が不在、いやそもそも統幕本部の存在しない軍隊が、近代国家の軍隊として同じく機能すると考えると事態を誤認しやすいのではないか。
まして第二砲兵(つまり戦略ミサイル軍)は総四部(総参謀部、総政治部、総装備部、総後勤部)を通さないで、軍事委員会に直結している組織。米国や日本のような統幕会議の設立は、共産党の独裁システムが変わらない限り、無理だと断言して良いのではないか。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました