戦時中は戦地に送られた農村青年の労働力不足を補うためにわれわれ中学生が農村に送られた。青空のもとクワやカマを振るうのは健康的で、教室にいるよりも悪くない。
昼になるとおかみさんが大きなおにぎりとどんぶり一杯の山羊の乳を振る舞ってくれた。山羊の乳はプーンと草の匂いがする。食料不足だから、そんなことを言ってはおれない。
母も私も牛乳アレルギーがあるので、飲むとすぐ下痢をしてしまう。不思議なことに山羊の乳を飲んでも下痢をしない。
東北の酒飲み会で、その話をしたら、「山羊の乳は搾ったら、一晩冷蔵庫で寝かせると匂いが消える」と岩手県の県議が教えてくれた。
翌朝、県議の事務所から宿に山羊の乳を届けてくれた。たしかに匂いはしないし、飲んでも下痢をしない。
帰途、お礼のために県議の農場を訪ねてみた。牛舎が連なる広い農場の一角で山羊が十頭ばかり飼われていた。子ヤギが私をみつけて、ついてくる。
母ヤギはのんびりとお昼寝。東京生まれの私だが、こういう農村風景はたまらなく好きである。
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