1468 『崩壊する中国、逃げ遅れる日本』 石平 

宮崎正弘氏の『崩壊する中国、逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ)が出版された今年の1月、中国経済にかんする二つの動向が注目されるところとなった。
その一つは、昨年12月において北京市中心部の不動産価格は20%前後の下落を記録したことが、2008年1月11日の中国中央電視台の関連報道で明らかにされたことであり、もう一つは、2008年1月の中国株市場では、上海証券総合指数は16.7%も下落して、月当たりの下落幅としてはここ13年間でワースト2の記録となったことである。
北京の不動産の20%の下落と、上海の株価の16.7%の下落、両方とも、暴落というべきほどの下げ幅である。
要するに、不動産と株という、中国経済の二つのバブルが崩壊する兆候をいっせいに見せ始めた、ということになったのだが、実はそれらはすべて、上記の宮崎著書において見事に予見されたことである。
「高騰した株式市場や不動産市場が暴落をおこすのは、近未来のシナリオではなくて、いまや時間の問題でしかない」と、本書がその「まえがき」からこう書いている。書籍出版の一般的な日程からすると、氏がこの一文を書いたのは去年の12月前のはずだっただろうが、その時点で、今後2か月内の動きがすでに見通されているのである。
2月の初頭になって初めてこの著書を読んだ私は、中国問題を見る宮崎氏の目の確かさと先見性に、改めて脱帽する思いである。
そういえば、氏のもう一冊の近著である『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店)が出版されたのは去年の九月だったのだが、その数カ月後の去年の12月から、中国産の「毒ギョーザー」は日本人の命を脅かすような事態がすでに発生していたのである。
中国のことに関して言えば、宮崎氏の見通しは常に、恐ろしいほどに的中してきたものである。
宮崎氏の中国観察は、どうしてそれほど確実なものとなるのか、物書きの一端くれの私にとっても大変興味の深い問題の一つだが、『崩壊する中国、逃げ遅れる日本』という上記の著書を読んでいると、なんとなく分かってきたような気がする。
おそらくその理由の一つは、中国問題を見る際の専門家宮崎の複眼的な視点にあるのではないかと思う。この本を通読してみれば分かるように、宮崎氏は中国問題の一つを観察し論じていくのにあたって、日本語の文献だけでなく、欧米発の英語の文献や台湾・香港発の中国語の文献も自由自在に駆使している。
つまり氏は常に、グローバル的な情報源から中国にかんする情報を収集し、しかも世界全体の動きとの関連性において中国を捉えているのである。そして氏はまた、日本のチャイナウオチャーの中でも唯一、ほとんど毎月のように頻繁に中国本土に足を運び、中国経済の実態や人々の生活ぶりをつぶさに観察している人である。おそらく氏にとって、中国人の考え方とその生態は手に取っているようにわかりきったもののはずである
言ってみれば、グローバル的なマクロの視点と、日常生活的なマイロの視点を同時に用いて中国を見ていくというのが、まさに氏の独特の中国観察法であるとは言える。だからこそ彼は、外から中国を見ることしか知らない一般の外国人観察者よりも、そして身近な内部から中国を見ることしか知らない多くの中国人自身よりも、この日本人専門家の宮崎氏は中国のことをよく知っているのである。
それこそ、宮崎氏の中国観察の強みの最大の理由のであり、中国のこれからを見通す時に思うずいぶん発揮された、余人の追随を許さない先見性の源ではなかろうかと、私が推測しているのである。
そして氏は本書においてまた、「中国の崩壊」と「日本の逃げ遅れ」を予言しているのだが、もし今度もまた氏の予見通り、日本の企業が逃げ遅れるようなことともなれば、それはただ、氏の言葉に耳を傾けない日本のバカな経営者たちの責任というしかない。
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