伊藤正氏の「トウ小平秘録」は、周恩来の死去・第一次天安門事件・トウ小平の全公職解任という劇的な展開をみせている。当時、共同北京特派員として北京に駐在していた伊藤氏だったから、まさに歴史的な証言者。1976年頃の出来事である。
あれから30年余の歳月を経たが、今、中国で繰り広げられている胡錦濤主席と江沢民元主席に激烈な権力闘争をみると歴史は繰り返されていると思わざるをえない。
八月一日に北京市で中国人民解放軍の設立記念日・慶祝セレモニーが行われたが、軍の大規模な人事刷新が行われても、江沢民派はまだ残っている。胡錦濤は演説で共産党による軍への「絶対指導権」を重ねて強調した。
今や胡錦濤・江沢民の権力闘争は、人民解放軍の支配権をめぐって大詰めを迎えた。中央軍事委員会の副主席が三人いるが、曹剛川と郭伯雄は胡錦濤に忠誠を誓ったとみられている。残る徐才厚はまだ態度を明らかにしていない。
その一方で、江沢民派の由喜貴中央警衛局長を更迭する人事は、江沢民の強い反対にあって胡錦濤は見送らざるをえなかった(ロイター通信)。中央警衛局は江沢民派の最後の砦となった観がある。
北朝鮮でも金正日国防委員長は、軍の主導権を握ることに血道をあげてきたが、中国でも事情は同じである。軍の主導権を握るための近道は、人事権を行使することである。軍幹部といっても、しょせんは軍官僚、人事に弱い。
宮崎正弘氏は七月人事で枢要な拠点である北京、南京、広州軍管区の軍幹部三人が胡錦濤派に入れ替えとなったと指摘した。大出世した三人はいずれも二階級特進。
胡錦濤の江沢民派放逐は人民解放軍の人事だけでない。江沢民が率いる「上海派閥」の中心メンバーである上海市トップの陳良宇は汚職容疑で政権の座から退けられた。ロイター通信によれば、身柄を拘束され、汚職の捜査を受けている陳良宇に死刑判決の可能性があるという。
次々と江沢民包囲網が狭められている現状から、手足をもがれつつある江沢民の逮捕を噂するインターネットサイトも出ているという。江沢民の逆襲があるのか、まさに現代の三国志の世界が繰り広げられているといえよう。
846 人民解放軍の支配権固める胡錦濤 古沢襄
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