中国の膨張を米国はもはや阻止できないが、影響力の行使はあり得る。『フォーリン・アフェアーズ』がまたまた中国重視論文を連発。
次の米国大統領は90%の確実でヒラリーだろう。
イラク戦争の泥沼化で、「向こう十年、米国は這い上がれない」(ロンドン戦略研究所報告)であろうから、外交政策は退嬰的に、モラルと士気は衰え、安全保障方面でも中国にけんか腰での振る舞いもできなくなる。香港返還交渉で英国が衰弱萎縮し、かのサッチャーがトウ小平の前で転びかけたように。
想像しただけでもヒラリーの米国は、そういう運命を歩みそうだ。
そして既報のようにヒラリーは『フォーリン・アフェアーズ』に寄稿して「中国は今世紀最大最重要国家」と定義付け、日本を軽く無視した。あのヒラリー論文を読む限り、日本のことなど民主党リベラル派は歯牙にもかけていないことが鮮明である。
同誌08年1月2月合併号は、「中国の膨張を米国はもはや阻止できない」という、やや悲観的ともとれる論文が掲載されている。
筆者はジョン・アイカンベリィ。彼はプリンストン大学教授で、国際的にも名を知られる人物である。
「米国主導だった自由と民主主義の世界秩序は終わりを告げ、東方の価値観に基づく世界秩序が形作られつつあるという早急な議論があるが、米国の世界秩序は中国に地域的にヘゲモニーを奪われても、法治による統治という開かれた西側のシステムが覆滅することはないだろう。西側の民主主義に列に参加することはやさしく、この体制を破壊させるのはたいそう困難だ」。
「とはいえ」とアイカンベリィ教授は続けている。
「米国の力の凋落は鮮明であり、やがて力の交代がおこりうる場合、米国としてはどのような秩序のなかでの中国の勃興による変革が望ましいか、そのプランを考慮しておかざるを得ないだろう」。
嘗ての世界の警察官の面影はなく、このような世界観でヒラリーの米国は、弱腰外交を続けることになるだろう。
在日米軍、在韓米軍、そして台湾の軍事力。北朝鮮の核兵器。米国が、嘗てカーター大統領が呼号したように、撤退に向かって走り出すという近未来のシナリオも、我々は用意しておく必要があるのではないか。
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1403 ヒラリー米国の運命 宮崎正弘
宮崎正弘
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