2165 出るか”1兆円景気対策” 花岡信昭

世間は北京五輪のメダルラッシュで大騒ぎだが、福田康夫首相(72)はのんびり夏休みというわけにはいかない。お盆を終えて、週明けには再び「政治の季節」がやってくる。
今月初旬の人事によって、自民党の麻生太郎幹事長(67)への「禅譲シナリオ」が浮上、公明党も福田政権と微妙な距離を置きはじめており、福田首相はその厄介な連立方程式に直面している。
それをばさっと切る特効薬として出てきたのが、「1兆円景気対策」だ。原油高、消費低迷、大型倒産、格差問題、企業減益といった経済環境をいっぺんに引っくり返す迫力を持ち得るかどうか。
■臨時国会の召集は
これは臨時国会の召集時期と微妙に絡む。公明党は早期召集に反対している。
インド洋の海上自衛隊給油支援活動の継続を断ち切るために新テロ対策特別措置法改正案の再可決に反対し、さらには民主党が企てている矢野絢也(じゅんや)・元公明党委員長(76)の国会招致を阻止するためにも、臨時国会は短いほうがいいということらしい。
政府・自民党側は今月下旬の召集を求めていたが、公明党は9月下旬への先送りを要求、どうやら間を取って9月初旬から中旬ぐらいで決着しそうな気配だ。
公明党を納得させる材料としても「1兆円景気対策」が打ち出せるのであれば、これは有効な策となる。
そこで8月下旬に総合経済対策をまとめ、これに基づいた補正予算案を編成、臨時国会の中心テーマとする方向だ。
麻生幹事長らは投資促進税制の検討を主張、貯蓄に回されているカネをいかに引き出すかを最優先に考えるべきだとしている。大型景気対策の軸のひとつにはなりそうだ。
■「戻し税」浮上か
だが、それだけではまだインパクトに欠ける。そこでひそかに検討されているのが、「戻し税」方式による減税だ。
ブッシュ米政権が経済対策として低所得者に小切手を送付した「小切手減税」の日本版である。財源は特別会計などに隠されている「埋蔵金」を充てるという構想が出ている。
国債を財源にしたら、将来へのツケを増やすだけの結果に終わるという批判が出るのは必至だから、「埋蔵金」を減税の原資にするのが一番いいというわけだ。
特別会計のほか、かつて国立だった各種の独立行政法人も「埋蔵金さがし」の対象になっているらしい。
「戻し税」というのは、現金が家庭に支給されるわけだから、通常ならば消費刺激効果は大きい。このご時世だから貯蓄に回るだけという指摘もないわけではないのだが、「家族そろってファミレスに1回行ってもらうだけでも効果はある」(自民党中堅幹部)。
麻生氏や与謝野馨(よさの・かおる)経済財政担当相(69)らは消費税増税論者だが、どうやら、来年度予算で消費税アップに踏み切ることは断念したようだ。基礎年金の国庫負担分引き上げに伴う財源措置は、たばこ増税などによって賄うということらしい。
「上げ潮派」の中川秀直(ひでなお)元自民党幹事長(64)がたばこ増税を主張していることを、巧みに取り込むというわけだ。
年内解散の可能性もいわれる中、消費税増税を打ち出したら、とてもではないが選挙は戦えないというのが、与党内の共通認識ともなっている。
厄介な課題はすべて「先送り」で政権維持をはかるというのが福田首相の基本戦略のようだが、「1兆円景気対策」で活路が開けるのかどうか。瀬戸際の神経戦が本格化するのは間違いない。
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