2301 胡錦涛、「泣いて馬謖を斬る」? 宮崎正弘

共青団の重要幹部が失脚、山西省の人事はミニ政変の可能性。
山西省といえば、石炭の産地にして、鉱山の事故多発危険地帯。仏教が栄え、聖地・五台山があることでも有名。
同省の北端は「大同」。中ソ対立の折は、この地に五十万の人民解放軍が駐屯したが、現在は石炭ビジネスの拠点。過去数年に石炭価格が四倍となったため、石炭成金が蝟集し、人口比率のベンツ保有率は北京市より高い。
かつて日本軍も、この大同から五台山を南下し、太源を占拠した。
さて山西省襄汾県で違法操業中の鉱山のボタ山が崩壊、大規模な土石流が起こり、254人の死亡が確認された(死者数は9月14日まで)。
この災禍の責任をとるかたちで山西省ナンバー2と言われた孟学農省長が突如、辞任するというハプニングが起きた。
不思議である。
そもそも中国人が職責の「責任」を取ること自体が奇妙ではないか。責任は必ず他人に押しつけ、自分は常に正しいと主張するのが、中国共産党幹部の生きる道だから。
四川省大地震は七、八万人もの死者がでた人災だったが、四川省幹部の誰も引責辞任していない。
汚職スキャンダルで逮捕された陳良宇元上海書記を例外に、最近、この種の事由で失脚した共産党幹部はいない。
中国の炭鉱事故は世界的に悪名高く、毎年五千人から八千人が鉱山事故で死亡している。
その安全無視のやり方は世界から非難されているが、これまではどこ吹く風の違法操業を繰り返してきた。
とくに炭坑が儲かると聞いて利にさとい浙江省温州商人が大挙して山西へ進出して、鉱山ビジネスを買収、安全を度外視した闇炭坑を地もとマフィアと組んで経営、拐かしなどでだまして連れてきた少年ら労働者を奴隷のように働かせた。
戸籍も名前もない炭坑夫が存在し、当局の閉山命令を無視した違法操業が平然と行われてきた。
胡錦涛政権は、違法鉱山を放置した責任を取らせることによって再発防止を謳い、自派の要人を斬った。
孟学農は能吏、共産主義青年団の幹部である。
同時に張建民副省長を解任し、省長代理に王君・国家安全生産監督管理総局長が就任した。なにもかも不思議である。
第一に責任を取るというのであれば、ナンバー1の省書記(張宝順)が当然引責辞任するべきだろう。
第二は、孟学農は北京市長経験の大物で、山西副書記から、この一月に山西省長に就任したばかり。副省長は辞任ではなく「解任」。ところが夏に落下傘人事で同副省長に就任した李鵬の息子、李小勇はそのまま。
代理省長となった王君は、事故の調査を担当してきた人物で政治的力量は未知数。臨時措置の観が否めない。
ともかく、この突如の人事は北京中央の政変と連動しているのか、見極めが必要である。
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