ドル基軸が基本の戦後体制が崩落過程にあるのではないのか?
「次はどうなるのか」を問うと専門家でさえ「分からない」と曖昧な回答しかない。ウォール街発大暴落がもたらした世界歴史の変革に関してである。
冷戦が終わって東西の軍事対決は薄まり、世界は自由と民主主義で覆われ、軍事力を相対的に軽減させ、覇権にとらわれなくなる大国はもっと繁栄するだろうという楽天的な主張が冷戦終了直後から論壇に跋扈した。
それは間違いだった。
ロシアが悲しい経済破綻を演出して西側の援助をむしり取り、おとなしくしていたのは十年あまり。プーチン大統領になって伝来のナショナリズムを鼓吹しロシア帝国の再現を狙うかのように軍事力を復活させた。かたや中国も繁栄の神話が陰ると人権弾圧を続ける独裁国家の本質が露骨となった。
パラダイム変更とは従来の世界観が、あるいは物事への考え方がガラリと変わることである。
戦後の世界を規定したヤルタ・ポツダム体制=パックスル・ルッソ・アメリカーナ(米ソ共存による和平)はあちこちに綻びがでているが基本構造はまだ変わらない
大東亜戦争に敗れた日本は国内的には自虐史観とGHQの洗脳で精神を喪い、戦前の価値観をすべて否定する状況となった。しかしこれは戦後日本の国内的なパラダイム変更であっても世界史的意味をもってはいない。
世界的視座から言えば、第二次世界大戦でのパラダイム大変換は独独伊三国同盟の否定と戦勝国=正義という価値観だ。しかしいまは経済方面の動きが重要となる。英国に変わって米国優位が確立した戦後経済体制の根幹はブレトンウッド(世界銀行、IMF)体制である。
スミソニアン合意、そのまた後のプラザ合意も、しかしながら世銀IMF体制の崩壊ではなかった。ドル本位制には変更が無かった。価値が低まったもののドルが世界貿易、金融の基軸通貨というブレトンウッズ体制は延命してきた。
▲ドル本位体制が存続する可能性は?
「パラダイム」の変更がこれから起きるとすれば、その第一はドル本位体制がひっくり返る懸念である。
まだ姿も形も見えないが複数通貨体制の出現の可能性が日々高まっている。五年から十年以内に、このシナリオは現実となる。
外交防衛のパラダイム変更は、日米安保体制が崩壊へ向かって走りだす恐れである。
九月十五日、リーマンブラザーズの突如の倒産で開始された世界金融恐慌、或いは世界の金融再編が、ドル本位体制崩壊の過程で次の状況を作り出す。それはひょっとすれば金本位制度の復活かもしれない。
新興工業国家群の勃興、新しい富が産油国に集中し、レアメタルの高騰で豪州、カナダ、南アの通貨も膨らみ、日本以外の国々では「ドル離れ」を引き起こした。それらが変動相場制度、ドル本位制を大きく揺らし、世銀IMF体制を根底的に動揺させた。
一つの時代が明らかに終わり、パラダイムの変更を余儀なくされる。しかし次の世界はいかなるイメージなのか?
米マスコミには近未来の「不確実性」を、ともかく”建設的曖昧さ”が訪れるだろうなどと書いているが本当に誰も予想できないのだ。(北国新聞コラム)
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2418 次の世界経済体制はどうなる? 宮崎正弘
宮崎正弘
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