4382 アジア重視のオバマ米大統領演説 古沢襄

東京での演説にこだわったオバマ米大統領だが、その狙いは東南アジアで影響力を強めている中国に対して、米国もこの地域に積極的に関与していくことを表明したことにある。共和党のブッシュ政権が東南アジアに対しては積極関与の姿勢が薄かったことに較べると様変わりしている。
また鳩山首相が唱える「東アジア共同体」構想が、米国抜きで進められないよう強く牽制したといえる。さらには米政権内に鳩山政権に対して「(米国にとって)最も困難なのは中国ではなくて日本だ」との判断が高まったことの反映でもある。
シンガポールでの日程を短縮してまでも東京演説にこだわった。オバマ演説を契機にして米国の積極姿勢が展開されるのではないか。
<オバマ米大統領は14日のアジア政策に関する演説で、日本との「揺るぎなき同盟」を基本に、アジア太平洋地域に積極的に関与する方針を示した。経済成長の一方で軍事増強を続ける中国をにらみ、鳩山政権発足後に摩擦が生じた日米関係の悪化を防ぐとともに、米国経済の回復を図るため、「世界の成長センター」であるアジアにおける米国の存在感を強めるねらいがある。 (有元隆志)
アジアに積極関与
オバマ大統領は「アジア太平洋で起きることは、直接米国に関係があることを米国民全員に知ってほしい」と述べ、米国内の雇用拡大のためにもアジアとの関係を深化させる重要性を強調した。
米国の10月の失業率は26年ぶりに10%を超えており、雇用対策は大統領の最優先課題となっている。米政府はアジア地域との貿易拡大によって、「より多くの雇用を創出できる可能性がある」(ローズ大統領副補佐官)とみている。
大統領は「アジア太平洋国家として、この地域の将来を形作る議論にかかわっていくつもりだ」と述べるとともに、東南アジア諸国連合(ASEAN)や日中韓で構成される「東アジアサミット」にもより正式な形で参加したいとの意向を示した。
鳩山由紀夫首相が掲げる「東アジア共同体」構想などが、米国抜きで進められないよう強く牽制(けんせい)したといえる。
同時に、「ブッシュ前政権の東南アジアに対する関心が低かったため、中国の影響力拡大を許した」(元米政府高官)との反省から、アジアでの枠組み作りにもかかわっていく方針を明確にした。
不安定要因の除去
経済成長継続のために欠かせないのが、地域の不安定要因の除去だ。大統領は「共通の課題に対処するため、古い同盟関係を強固にし、地域の諸国との新しいパートナーシップを構築する」と述べた。
「古い同盟国」の代表的存在が日本だが、鳩山政権発足後、「(米国にとって)最も困難なのは中国ではなくて日本だ」との国務省高官の発言が米紙に紹介されるなど、米政府内では日米関係を見直し、アジアにおける日本の立場を変えようとする鳩山政権に対する懸念が強まった。
オバマ大統領はテキサス州陸軍基地でおきた銃乱射事件の追悼式に出席したため、アジア歴訪日程を直前に変更。シンガポールでの日程を短縮したものの、日本との緊密な連携を維持する姿勢を示すため、東京での演説にこだわった。
また、日本側に配慮し、北朝鮮に対し、拉致事件の解決が日朝国交正常化の前提であるとの立場を示した。米中関係でも「中国との関係強化が(日本などとの)同盟関係を弱めることにはならない」と語った。
大統領の日米同盟関係重視のメッセージに応えるためにも、鳩山政権は設置が決まった米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関する閣僚級作業グループで、早期に結論を出す必要があるといえるだろう。(産経)>
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