鳩山由紀夫氏は首相辞任に当たって小沢一郎民主党幹事長を道連れ辞任に追い込んだ。これは鳩山氏の唯一の善行だった。鳩山氏の辞任理由は(1)普天間問題で社民党の政権離脱を招いた(2)「政治とカネ」でクリーンな民主党を傷つけた-の2点である。
≪日米外交の重要性わからず≫
すでに日米合意である普天間飛行場の沖縄県・辺野古への移転問題をいきなり蹴(け)飛ばして「国外、少なくとも県外」といい出した非常識には驚いた。加えて岡田克也外相の嘉手納への統合にも仰天した。首相、外相ともに無知すぎるのだ。
この何カ月間かで出てきた代替案は桟橋案も含めて、10年間の日米討議で潰(つぶ)れたものばかり。いくら野党だったとはいえ、無知にもほどがあるとあきれていたところに、鳩山氏の「抑止力を学べば学ぶほど…」発言である。
この無知は中学生にも抑止力の意味を学ばせた。政権を担当する政党は反米路線では国が立ち行かないこともわからせた。
日米外交の重要性が解っていないのは小沢一郎氏も同じだ。代表選に出馬しろと田中真紀子氏を口説いたそうだが、田中氏は小泉純一郎政権時代に外相を更迭された前科がある。その田中氏を代表選に担ぎ出そうとしたことは日米外交の重要性を全く認識していない証拠だ。
小沢氏はキャンプシュワブ近辺の土地を買っているが、小沢氏にとって沖縄とは土地投機の対象くらいの位置づけなのか。
≪沖縄の地政学的意味を説け≫
沖縄の基地問題で納得できないことがある。自民党時代も含めて、政府が「沖縄は地政学上、国防の要として不可欠だ。迷惑だろうが我慢してくれ」との大義を説いたことがあるのか。大義を説かずして暗黙のうちに金を出すことを半世紀も続けた結果、いつの間にか基地は沖縄でなくても代替できるとの錯覚に陥った。
福島瑞穂社民党党首は「地元が反対しているのだから反対だ」という理屈だが、一義的に決めるのは米政府と交渉した日本政府である。交渉に当たって日本政府が地元の意向を聞くことはあってもいいが、決定するのは地元ではない。
菅直人首相は国防の責任は政府が持つこと、それに照らして沖縄ははずせないこと、犠牲を負う分は金銭で解決するしかないことを地元住民に切に説くべきだ。
「政治とカネ」問題は発覚のその時から内閣支持率を引き下げ続けた。昨年9月、 75%近くあった内閣支持率はこの8カ月間、一直線に降下して20%を切るところまで下がった。
この間、「小沢氏は幹事長を辞任すべし」が常時8割以上を占めた。それが鳩山氏に「無理心中」させられるまで、しがみついていたのは、公認権と党の資金を一手に握る快感に酔っていたせいなのか。
参院静岡選挙区に2人候補者を立てるとの小沢氏の指示に対して静岡県連は拒否の回答をした。すると、4人の議員への政党助成金の配分が止められたという。政党助成金というのは全議員に公平に配分されるべきもので、党規や倫理に反しない以上、止められるいわれはない。小沢氏特有の無理筋の恫喝(どうかつ)だ。
≪自民党の支持は増えず≫
小沢氏は党の政策調査会を廃止した。各議員は政調会のしかるべき部会に属して専門知識を積み上げる。これが行き過ぎると“族議員”となって企業や業界の利権獲得に回る。このため政調を廃止し、陳情があれば幹事長室で受けつけることにした。
受けつけた「結果」を政府に持ってきて、小沢氏がご託宣するのだが、内容は全く不透明。これではさながら独裁者だ。政調を廃止した思惑は、自らの独裁に議員が楯突く場を与えないためだったのだ。
小沢氏は中国、韓国への「贖罪(しょくざい)意識」を抱く一方、心情的反米主義者である。国家観もなければ、歴史観もない。この人物が全権を握って党を暴走させた。
問題の子ども手当は岡田克也氏が代表時代、扶養手当を廃止するなどの整理を行って月1万3千円を捻出した。それを見た小沢氏が選挙で勝つには「倍出せ」と号令して2万6千円になった。選挙のためならなんでもバラ蒔く、高速道路はタダにしろという一方で、地方に高速道路を造ってやれ、という。財源などはあとでどうでもなるとの発想だ。
代表選挙に当たって支持を求めてきた菅氏に前原誠司氏は(1)小沢色の払拭(2)党人事の掌握(3)日米外交の立て直し-の3点をあげ、菅氏にも異論はなかった。この路線に賛成した291人が菅氏を担ぎ上げた。権力とカネを手放した小沢氏にもはや再起の機会はないだろう。与えるべきでもない。
民主党が人気急落していたのに自民党への支持はふえなかった。全国に98もの空港を造りながら、ハブ(拠点)空港がないというバカな国家経営をやってきたせいだ。
5兆4千億円の道路特定財源を一般財源化したのに後期高齢者の医療費を2200億円削った。自民党は道路財源の25分の1を医療費に回すという簡単なことさえできなかったのだ。こんな自民党には政権を任せる気がしない。(産経)
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5736 小沢氏に「再起」の機会はない 屋山太郎
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