13359 事故機の乗客二人がアシアナ航空を提訴  古澤襄

訴訟社会の米国だから米サンフランシスコ空港で事故を起こした韓国アシアナ航空機に対して、乗客から訴訟が出るのは避けられないとみていた。
米ウォール・ストリート・ジャーナルは二人の乗客から「非常に重篤な負傷および精神的苦痛を負った」として同航空を相手取って訴訟を起こしたと伝えた。これをきっかけに多くの訴訟が出てくる可能性がある。
<米サンフランシスコ空港で事故を起こした韓国アシアナ航空機に乗っていた2人の乗客はこの事故で「非常に重篤な負傷および精神的苦痛を負った」として同航空を相手取って訴訟を起こした。
これは事故後、最初の訴訟とみられる。アシアナの弁護士からのコメントは得られていない。
アシアナ214便は7月6日、サンフランシスコ国際空港に着陸しようとした際に、滑走路の手前にある護岸に接触して胴体着陸状態となったあとに出火した。この事故で3人が死亡し、数十人がけがをした。
米運輸安全委員会(NTSB)のハースマン委員長は先週、これまでのところ機器に誤作動があった証拠は見つかっていないと述べた。関係筋によると、同委員会はパイロットが十分な訓練を受けていたかどうかについて調査しているという。
同航空は、パイロットは十分な経験があり、同社の訓練プログラムは国際基準も韓国の基準も満たしていると繰り返し表明している。
サンフランシスコ連邦地裁に提訴したのはYounga Jun Machorroさんと、息子のBenjamin Hyo-Ik Machorroさんの2人。事故機に乗っていなかったYoungaさんの夫Hector Machorroさんも原告に加わった。Hectorさんは妻の負傷による損害賠償を求めている。
原告側の弁護士、ボールズ・アンド・バーナLLPのマイケル・バーナさんは「アシアナ機のクルーの行為は甚だしく無謀でいい加減だった」とし、「パイロットたちは、風もない晴天の日に滑走路に着陸するという基本的な任務をこなすことができなかった」と指摘した。
同弁護士によると、Machorroさんと息子はサンフランシスコ総合病院に入院している。レントゲン写真では骨折はないが、背中を負傷しており、治療が続いているという。
国際的な航空機事故の被害者への補償はモントリオール条約で定められている。この条約に基づけば、アシアナ航空は負傷した乗客1人につき最大で約15万ドル(約1500万円)の賠償責任がある。これは同社の保険会社が払うことになる。事故の責任がアシアナにあることを乗客が証明できれば、金額は増える可能性がある。
原告側は訴状で、事故は「アシアナ214便のクルーの重大な過失によって起きた」とし、「国際的および米国の航空業界の基準と飛行規則の多くに違反している」と主張している。
モントリオール条約は、事故の被害者が米国の永住者か、航空チケットを米国内で購入したか、あるいは最終目的地として米国に向かっていたかのいずれかである場合、アシアナを米国の裁判所に提訴することを認めている。
事故の裁判は通常、数カ月ないしそれ以上の時間がかかる。複数の訴訟はしばしば統合されて、1人の連邦判事が扱う。これは広域係属訴訟と呼ばれる。
航空機関連の弁護士ラッド・サンガーさんは、今回の事故に関連した訴訟が広域係属訴訟になる公算が大きいとの見解を示した。その上で「今後数週間で多くの訴訟が起こされるだろう」とし、「今回の訴訟はおそらくその第1号になるだろう」と語った。(米ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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