15698 強気のプーチン、打つ手限られるオバマ   古澤襄

ロシアはクリミア自治共和国(ウクライナ共和国内の自治共和国)を軍事力でほぼ掌握した。クリミアは来年一月からロシア領に編入される。
これに対して欧米が打つ手は限られている。ロシアに対して米国は経済制裁を課すことによってロシア経済に打撃を与える対応策しかない。だが経済制裁は”諸刃の剣”になりかねない。
早い話がドイツはロシアの天然ガスをパイプラインで受けている。脱原発のドイツはエネルギー需要の35%をロシアに依存しているから極端な経済制裁はパイプラインの閉鎖を招きかねない。ロシア依存のエネルギー政策から脱するには時間がかかる。
また国連は常任理事会で拒否権を持つロシアに対して無力で有効な手立てがない。G8からロシアを追放する手立てもさほど有効とは思えない。前回のG8でもプーチン大統領はあえて欠席している。
経済制裁で最初にダメージを受けるのはロシアだが、事は世界経済に及びかねない。
そうなるとロシアの野望はクリミア掌握にとどめ、ウクライナ全土に及ぶのを阻止するしかない。ロシアはクリミア以外には軍事侵攻する意図はないと表明したが、欧米は額面通りには受け取っていない。
クリミアに侵攻したロシア軍はウクライナ沿岸警備隊第36旅団のペレバルネ基地、海軍海兵隊のフェオドシヤ基地、対空ミサイル部隊のエフパトリア基地などを制圧した。ウクライナ空軍はベルベク基地にSU-27とMIG-29の飛行隊を配置していたがほぼ無抵抗のまま制圧されている。
ひとつにはクリミアに配置されたウクライナ軍はロシア系将兵が多いという事情がある。
米AP通信はウクライナ東部の主要都市ドネツクでは、5000人を超える親ロシア派の住民がロシア編入の是非を問う住民投票の実施を求めてデモを行ったと報じている。
ドネツクでロシア系住民が迫害をうけたと、それを理由にロシア軍が介入する可能性は否定できない。強気で介入してくるプーチン・ロシアに対してオバマ米大統領がどう阻止するつもりなのか。中間選挙を控えたオバマ氏にとって正念場を迎えようとしている。
■親ロシア部隊、クリミアのウクライナ空軍基地を襲撃
<(ベルベク空軍基地 AP)親ロシア部隊がクリミア半島セバストポリ近郊にあるウクライナのベルベク空軍基地を襲撃した。銃撃があったほか、コンクリートの壁は装甲車で破壊された。基地の司令官によると少なくとも1人が負傷した。
ウクライナ国防省が公表した映像によると、基地の正門も装甲車によって破壊された。
一方、ウクライナ東部の主要都市ドネツクでは、5000人を超える親ロシア派の住民がロシア編入の是非を問う住民投票の実施を求めてデモを行った。
今月16日にはクリミアで住民投票が行われ、ウクライナ離脱とロシア編入が支持されたが、西側諸国は住民投票に正当性がないと主張している。住民投票後、クリミアは正式にロシアに編入された。
ベルベク空軍基地のユーリー・マムチュル司令官は、兵士を集合させ、そろってウクライナ国家を歌った。その後、武器を基地の武器庫をしまうように命じた。
基地を襲った勢力は記章のようなものは一切身に着けていなかった。国防相の報道官はフェイスブック上で、この勢力が最近できた地元の民兵組織の一部であることを明らかにした。しかし、機関銃や装甲車を使っているところをみると、軍と関係があるとみられている。(AP)>
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