19394 ギリシャ 債務不履行への懸念強まる   古沢襄

ギリシャの議会は、EU=ヨーロッパ連合などから金融支援の条件とされている財政緊縮策の賛否を問う国民投票を来月5日に行うことを賛成多数で承認し、ギリシャの債務不履行への懸念が強まっています。

ギリシャでは、チプラス首相が財政緊縮策の賛否を問う国民投票を来月5日に実施する考えを表明したことを受けて27日、臨時の議会が開かれ、賛成多数で実施を承認しました。

これに対して野党からは「チプラス首相はEUなどとの交渉の失敗の責任を国民に負わせた」などと非難の声が上がっていて、最大野党の新民主主義党のサマラス党首は、パブロプロス大統領と会い、国民投票を阻止するため実施の承認に署名しないよう求める考えです。

ただ、国民投票の実施の有無にかかわらず、ユーロ圏各国は、ギリシャへの金融支援を今月末の期限で予定どおり終わらせる方針を示しています。ギリシャが支援を受けられなければ、今月末に迫ったIMF=国際通貨基金に対する多額の債務の返済や国債の償還が、極めて難しくなるものとみられ、ギリシャの債務不履行への懸念が強まっています。

ギリシャの大手調査会社が緊急に行った世論調査では、緊縮策を含むEUなどの提案を受け入れてもよいと答えた人が47.2%と「反対」の33%を上回り、EUなどに譲歩して緊縮策を受け入れてでもユーロ圏に残るべきだと考える市民のほうが多いことが分かりました。

EUのトゥスク大統領も28日、みずからのツイッターに「ギリシャはユーロ圏にとどまるべきだ」と書き込むなど、EU側も事態の打開に向けてギリギリまで交渉の可能性を模索するものとみられます。

■債務不履行による影響は

国の債務不履行、いわゆるデフォルトは、政府が国の借金に当たる国債の元本や利息を投資家に払えなくなることを言います。

ギリシャを巡っては、今月末にIMF=国際通貨基金に対する2000億円を超える債務の返済期限が来るのに加えて、ヨーロッパ中央銀行が保有する巨額の国債の償還が、7月と8月に控えていて、その額は9000億円余りに上ります。

しかし、ギリシャの資金繰りを支えてきたユーロ圏の国々が、今月末にギリシャへの支援を終了する方針を示したことで、こうした支払いが滞り、ギリシャがデフォルトに陥るのではないかという懸念が強まっているのです。

ギリシャでは、預金が封鎖されたり、ユーロが使えなくなったりするのではないかという懸念が広がり、多くの人が銀行に詰めかけ預金を引き出しています。

現地のメディアによりますと、ギリシャ国内の銀行からは、今月15日からの5日間でおよそ50億ユーロ、日本円でおよそ7000億円の預金が引き出されたということです。

これまでギリシャの銀行の資金繰りについては、ヨーロッパ中央銀行が、ギリシャの中央銀行を介して資金供給を続けて支えてきました。

しかし、デフォルトに陥った場合、ヨーロッパ中央銀行は、この資金供給を打ち切る可能性があり、銀行の資金繰りが行き詰まってギリシャの経済が大きく混乱するおそれがあります。

国際的には、ユーロ圏以外の国々に対しては、影響は限定的だという見方もある一方で、ユーロ圏では、過去に前例がない事態だけに、金融市場が大きく動揺するなど世界経済に混乱を及ぼすのではないかとの懸念も出ています。

■日本経済への影響は限定的か

ユーロ圏の財務相会議が、ギリシャへの金融支援を今月末に予定どおり終わらせる方針を示したことで、ギリシャが債務不履行に陥る懸念が高まっていますが、仮に債務不履行になった場合でも、日本経済への直接的な影響は限定的だという見方が大勢です。

資金繰りがひっ迫しているギリシャが、今後、債務不履行になった場合、ギリシャ国債の価値が大幅に下がるため、保有者は損失を抱えることになります。

しかし、現在、ギリシャ国債を保有しているのはヨーロッパ中央銀行などの公的機関や、ギリシャ国内の銀行などで、日本の金融機関はほとんど保有していないことから、日本への直接的な影響は限られるという見方が大勢です。

また、ユーロ圏では、2009年から2012年にかけての信用不安を教訓に、財政危機に陥った国を支援したり、ヨーロッパ中央銀行が国債を買い入れたりする仕組みが整備されているため、これまでのところ、ギリシャの問題がほかの国に波及してヨーロッパの金融市場が動揺する形にはなっていません。

ただ、ギリシャが債務不履行に陥れば、今後、ユーロ圏から離脱する事態も考えられ、単一通貨ユーロに対する信用が損なわれて外国為替市場や各国の国債の市場が混乱するおそれもあります。

また、ギリシャの問題をきっかけにヨーロッパ経済に混乱が生じるなどして世界経済に影響が及べば、各国の株式市場で株価が下落することも考えられます。

こうしたことから、週明けの東京外国為替市場で、ユーロを売って比較的安全とされる円を買う動きが強まって円高ユーロ安が進むかどうかや、株式市場がどう反応するかなどが注目されます。

ニッセイ基礎研究所の伊藤さゆり上席研究員は、今回のギリシャを巡り、情勢が週明けの金融市場に与える影響について、「合意を目指してきた協議が決裂という結果に終わったことは、単一通貨のユーロに対しては、悪い材料になると思う。週明けの市場への反応としては、ユーロ安、円高株安という方向に動きやすいだろう」と述べています。

仮にギリシャが債務不履行に陥った場合の日本経済への影響について「日本の金融機関は、ギリシャの国債をほとんどもっていないので、この問題自体が日本の金融機関に及ぼす影響は限られていると思う。ただ、この問題が、ほかのユーロ圏の国々の国債に影響を及ぼしたり、ユーロ相場が大きく動いた場合に間接的な影響が及んでくる可能性はあるかもしれない。もともとユーロ圏全体と日本との貿易額は、アメリカや中国と比べても小さいので、日本経済が直接的に打撃を受けるという可能性は小さいだろう」と述べています。

■日本とギリシャの貿易関係は

財務省などによりますと、日本とギリシャの貿易関係は、平成25年の時点で、日本からの輸出額が、機械や鉄鋼などで年間150億円です。

一方、日本の輸入額は、石油製品や綿花など177億円余りとなっていて、いずれも比較的小規模にとどまっています。

一方、日本から観光でギリシャを訪れる人は、平成25年で、年間およそ1万3000人です。(NHK)

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