13016 維新の橋下氏発言で混沌とする大阪選挙区 古澤襄

<梅雨の厚い雲が低く垂れ込める15日午後、大阪府八尾市の郊外で日本維新の会の東徹府議(党総務会長)はスーパーマーケットの店頭に立ち、党是の「大阪改革」実現を訴えた。
「東京一極集中ではダメです。大阪都構想の実現に向けて取り組んでいく」
足を止める有権者はまばらだった。7月に予定される参院選に向け、この日は十数カ所でマイクを握ったが、明らかに勢いに陰りが見え始めている。
勝ち方にこだわる-。維新の選対本部は、党発祥の地・大阪選挙区(改選4)での圧勝をもくろむ。「大阪で他党と僅差では党全体の政治力が落ちてしまう」(府議)というわけだ。
昨年12月の衆院選では、約100人に上る地方議員の大半が候補者支援のため全国各地に散ったが、今回は約80人を大阪に張り付かせる。公認候補を維新の母体「大阪維新の会」の発足時からのメンバー・東氏1人に絞り、そこに力を結集する戦術をとった。
しかし、橋下徹共同代表の慰安婦問題をめぐる発言などで支持離れが加速し、東氏陣営からは「大阪も例外ではない」との声が漏れる。追い打ちをかけるように、橋下氏から、米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの訓練の八尾空港(八尾市)への一部移転の提案が飛び出した。
東氏の演説に耳を傾けていた元会社経営の男性(74)は「2、3カ月前ならまだ良かったんやけど…。橋下さんがいらんこと言うたからなあ」とつぶやいた。東氏にとって、党がこだわる勝ち方への「重圧」は強くなるばかりだ。
そんな維新の失速を尻目に、自民党から出馬を予定する柳本卓治前衆院議員は党地方議員や友好団体の会合をまわり、組織固めに躍起だ。15日も大阪・ミナミの劇場で行われた党大阪市議の会合で、「気迫、闘争心だけは絶対負けない」と国政での実績を訴えた。
自民党は大阪選挙区の公認候補選定をめぐり府連内で意見が対立。今年4月になってようやく柳本氏に内定し、一枚岩で戦える環境が整った。ところが、橋下氏の一連の発言で風向きが変わると、2人目の擁立論がくすぶり始めた。発信源は党執行部とされ、選挙の現場を預かる地方議員からは不協和音も出ている。
「党員投票までして(柳本氏に)決めた経緯があるのに…。共倒れになる可能性もあるし、維新が弱ったから、というのは違うんとちゃうか」
府連の不満はそれだけにとどまらない。維新の中心メンバーは自民党離党者が多く、府連内には維新への遺恨が根深い。にもかかわらず、安倍晋三首相らが維新の橋下氏や松井一郎幹事長(大阪府知事)と頻繁に接触しているからだ。
府連関係者は「せっかくの安倍首相の人気を大阪では維新がさらっていく。首相には大阪に来てもらい、自民党候補への支持をはっきり訴えてもらわないと困る」と党執行部への不信感を隠さない。
自民党の2人目擁立論には民主党も揺れている。梅村聡参院議員の公認を内定したが、政党支持率は低迷したまま。自民党に大きく差をつけられ、「(自民党が2人立てたら)梅村氏が当選圏外にはじき飛ばされかねない」(党関係者)との危機感がふくらむ。
「この国の政治家は失言を恐れ、タブーに触れてこなかった。言いにくいことでも言っていきたい」。梅村氏は15日、貝塚市内の対話集会で、自らの政治姿勢を説き、理解を求めた。
このほか、公明党の杉久武や共産党の辰巳孝太郎、幸福実現党の森悦宏の新人3氏が出馬を予定し、みんなの党も公認候補擁立を目指す。「大坂夏の陣」は予断を許さない。(産経・原川貴郎)>
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