19728 世界揺さぶる中国経済の「不安」   古沢襄

■青山学院大学教授・榊原英資

中国発の経済混乱が世界経済を揺さぶっている。8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49・7と、2月以来初めて景気判断の分かれ目となる50を切るに至った。中国からは資金が流出し、韓国の輸出も8月は前年同期比で14・7%落ち込んでいる。

世界の株価も上海株式市場の下落を受けて動揺が広がり、乱高下が続いている。

≪簡単ではない安定成長への移行≫

中国経済は1980年以来、高度成長を続け、80~2011年の平均成長率は10・01%に達していた。BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)がこの時期、高成長を達成したが、中国が最も高いものだった。ただ、12年になると成長率は7%台に落ち、15年には6%台まで下がると予測されている。

明らかに中国経済は高度成長期から安定成長期に移行してきているのだ。今後、しばらくは6~7%の成長が続くのだろうか。人口も13・7億人前後でピークを打ち、人口減少、高齢化の局面に入ることから、成長率はその後も下落し、50年には3~4%にまで下がっていくとみられている。

高度成長から安定成長への移行はさまざまな問題を惹起(じゃっき)させてきている。

急速な上昇を続けてきた株価や不動産価格が下落し、バブル崩壊といった現象が起きてきているのだ。状況はほぼ40年ほど前の日本と似ているともいえるのだろう。

1970年代に入り、高度成長を続けてきた日本経済は2度のオイルショックに見舞われ、安定成長に移行する。1956~73年の実質成長率は9・1%だったが、74~90年には平均で4・2%まで下がっていったのだ。

移行は必ずしも簡単なものではない。さまざまな部門での構造調整が必要だからだ。日本経済はなんとかこの移行を乗り切り安定成長局面に移っていったが、中国経済がこの苦境を乗り切っていけるかどうかは必ずしも定かではない。

 ≪19世紀前半に似た状況≫

中国は2010年に日本を抜いて国内総生産(GDP)では世界第2位の経済大国になり、14年の名目GDPは日本(4兆6163億ドル)の2倍を超える。今や中国経済の動向は日本やアジア諸国のみならず、世界を左右する規模になってきている。

しかし1人当たりのGDPでは、14年に7589ドルと世界で80位。日本の5分の1、アメリカの7分の1程度にしかすぎない。まだまだ成長する余地があるということである。

15年2月に会計事務所プライスウオーターハウスクーパースが発表した「2050年の世界」では、購買力平価(PPP)ベースの中国のGDPは61兆790億ドルで世界ナンバーワン(アメリカのほぼ1・5倍)。ちなみにナンバー2はインドで、両国が世界2大経済大国になっている。

この状況は19世紀前半以前の世界経済の姿に近い。

1820年には、中国は世界のGDPの28・7%を占めており、2位のインド(16・0%)を加えると、世界のGDPの半分弱になっていた。

時代を遡(さかのぼ)ると、さらに両国のシェアは増大する。1500年の時点では中国とインドで7割近くを占めていた。欧米諸国のGDPが大きく伸びたのは産業革命以降、1800年を越えてからである。

実はPPPベースではすでに2014年で中国のGDPはアメリカを超えてナンバーワンになっている(中国17兆6320億ドル、アメリカ17兆4160億ドル)。中国経済の混乱が世界規模に大きな影響力を持つのは当然のことだといえる。

 ≪国の威信かけた介入も≫

共産党独裁下の市場経済である中国の難局を、習近平指導部がどうマネージしていくのか、将来、政治体制の調整が起こってくるのかは今のところ不透明だ。しかし中国の政治・経済情勢が世界、特に隣国の日本に大きなインパクトを与えることは不可避である。

日中関係は政治的には微妙だが、経済面では中国はアメリカと並ぶ日本の最大のパートナーだ。中国経済がどう推移するかは日本経済に大きな影響をもたらす。その意味で中国との協調関係は日本にとって最大課題の一つだ。

繰り返しになるが、中国経済は今、大きな転換期にある。高度成長期が終わり安定成長期に入るのだが、本当の意味での「安定」が得られるのかどうかは今のところ不透明だといえよう。

GDPがPPPベースではすでに世界ナンバーワンになった中国は、名実ともに覇権国家になるべく、経済に関しては国は威信にかけて介入し、その安定化を図っていくことになるのだろう。

中国の財政収支はアメリカや日本に比べて良好だ。2014年には対GDP比で1・14%の赤字。アメリカの約5分の1、日本の約7分の1だ。財政政策活用の余地はまだ十分にあるといえるのだろう。当然、金融に加え財政による経済の安定化に努めていくことになる。(産経)

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コメント

  1. 山中 雅和 より:

     榊原さんは、民主党の影の財務大臣だったが
    政権を執ってから1度も財務大臣に就任しなか
    った。背任、利益相反の双方代理、職権濫用や
    外患誘致罪を公職でも強要されるから?
     大蔵省は、橋本内閣時、知恵袋?江田憲司に
    より財務省となって、全職員が共産中国により
    買収されたのかもしれない。大津財務局に住専
    の件で抗議にいったところ、若手職員が応対に
    出、「住専って、何ですか?」と逆に問われた
    のには開いた口が塞がらなかった。本当に知ら
    なかった?若しくは中国からの帰化人?・・・
    若しくは(買収強迫されている上司の指示?)
    榊原元財務官間違いなく買収強迫されている。
    「ミスター円」と言われたほどの御仁だ。白痴
    とは言えないだろう。要するに国益や世界益を
    裏切っているのだ。
     隠れ多極世界市場拡大均衡主義に迎合した?
     とにかく上の論説も余りにも歴史や統計無視
    改竄した認識が踊り過ぎ、北京放送の如き内容。
    中国に都合の悪い事は一切削除。文化大革命や
    天安門事件の後の停滞を無視している。
     中国がIMF8条国となったのは、日本で秘密の
    CURRENT CONSPIRACY=住専処理策が決定し、翌
    1996年正月に国会通過した年なのだ。40年高度
    成長など無い、直近21年間。
     高炉も半導体も無かった共産中国田中政権の
    国交正常化、ニクソン訪中、欧州もバスに乗り
    遅れまいと中国詣で。ODA援助は増えたが.貿易
    決済も外貨流入も自由ではなかった。
     そこで天安門事件。テレサテンのショックは
    いかばかりであった?・・チェンマイで病死?
    死因には疑問が残る。要するに資金引き上げが
    始まったら、共産中国には人民にドル資産無く
    何も残らない。言いにくい事中国の事は良い。
     ・・・
     状況は、40年ほど前の日本と似てきている?
    財務官だっただけに在職中1995年以来の世界が
    唖然とした「日本の大失政」只管隠そうとする
    財務相官僚。日本人さえ騙せば安心?世界には
    バレバレ。・・本当は、白痴?疑いが残る。
     日本人はとても洗脳しやすい。玉砕・特攻を
    命じても、上手く行った。この人も元中国人?
     「1956~73年、実質成長率は9.1%だったが
    74~90年には平均で4.2%まで下がって行った
    のだ」と榊原さんは仰るが、ドルベースや.円
    ベースの数字を都合よく使い分け.結局1994年
    までの数字ひた隠す。そして.1995~2014まで
    の数字がドルベースでマイナス継続なのだ。
    中国は内乱に陥りかねぬ.幾ら一人当たりGDP
    が低いからといって、成長余地がこのままの
    1党独裁体制で保証されているか?習近平主席
    はヒットラー.スターリンと毛沢東を合わせた
    ような独裁恐怖政治を実現しようとしている。
    「天津大爆発等、命懸けの抵抗」が各地頻発
    している。人民元も紙切れの可能性が・・・
     人民が米ドルを持っているのなら.見込みは
    あるが・・財政赤字は対GDPで1.14%?これも
    信用できない。第一中国のGDP?
     

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