323 談合絶滅で清潔政治? 渡部亮次郎

12月11日朝8時台のNHK・BSTVをホテルで見ていて仰天した。女性解説委員が出てきて「談合が無くなれば知事の汚職がなくなるから、談合を無くせば清潔政治になる」と言う趣旨のことをコメントしていたからだ。
解説委員ドノ、真実は逆なんですよ。汚職をやるために官製談合をしているのであって、官製談合を止めたって汚職のタネはなくならないのです。知事選挙や市区町村長選挙にかける厖大なカネを調達するために官製談合が生まれたのです。
それなのに官製談合を潰したら知事や市区町村長は選挙資金を何処からどうやって調達するのですか。問題は談合がなくなるより前にカネの掛かりすぎる選挙をどうかしなければ解決しないのです。
あなたみたいなコメントは単なるきれいごとで、世の中の進歩には関係のない「世迷いごと」に過ぎません。こんな解説委員のいるメディアには視聴料を払う意欲は出ませんね。
政治に掛かるカネをどうするか。国会のセンセイたちは遂に政治資金を税金から強奪して解決を図っています。カネのかかる原因には手をつけずにです。それなのに知事や市区町村長へは何の手当てもせず、では片「手落ち」も甚だしい。同じ国民の代表じゃないですか。
あなたみたいにきれいごとを言い続けても何も解決しません。国民を混乱させるばかりです。A紙の社説とそっくり。論説委員の自己満足だけであって、社会のためにはクソの役にも立たない。ホントにハラが立つ。空しい電波が更に空しく流れ去った。
2006年12月11日の私のメルマガ「頂門の一針」で毛馬一三(仮名 元政治記者)は次のような事実を暴露しております。
<「あの時の大阪府知事選挙には15億円かかった」と、数期前の知事選で参謀を勤めた府庁幹部0Bからそんな事実を聞いたと、同僚特別職OBが証言する。
御堂筋や北浜など目立つところに設置する選対事務所は、関係の深い大手テナントビル会社から3~4ヶ月前から無償で借り上げるのが慣例。慣例といえば大阪市長選挙でも前回前までは大手ゼネコンから回り持ちで事務所敷地とプレハブ事務所を廉価で長期調達してきている。
問題は資金の調達だ。15億円もの資金を首長候補者が事前に準備できるはずが無い。有力首長候補者は、OB幹部の選挙参謀を伴って、大手、準大手ゼネコン・設備業界・コンクリート業界・マリコン・大手設計事務所などの代表に「どうかよろしく」と立候補の挨拶回りに専念。全業界が腹を括って走りだせば、15臆円の調達はさほど難しいことではない。
これを突破口に「支援金拠出の要請」に先の参謀たちが日参するのだが、「支援金を出せば見返りは実行される」という阿吽の“見返り契約”が建設業界と候補者・選挙陣営の間で交わされたのだ。>
率直に言えば談合があるから悪いのではなく、カネの掛かりすぎる知事や市区町村長選挙があるから談合があるのだ。したがって現状では談合を無くせば知事・市区町村長選挙は出来なくなる。
そういう社会の仕組みが出来上がってしまっているのだ。NHK記者が赤い唇をいくらひん曲げても談合は現状の仕組みではなくならない。取締りが厳しくなっても手口が巧妙化するだけだ。
確かに談合により国民の税金は横取りされるわけだが、談合で生まれたカネは選挙資金に費消されて国民に戻るわけでもあるのだから横取りだと怒らなくても良いかもしれない。
そのように考え、せっせと談合を奨励して選挙資金を積み上げていわば自民党を買収して総理総裁に上り詰めた人が居る。田中真紀子さんの父田中角栄氏(故人)である。大きな国営土木事業を舞台に、一説では総予算の0・5~5%を業者に上納させたと言われている。
それまでは国会議員ともあろう人間が、国家予算を結局は横取りする談合に首を突っ込むような事は破廉恥な行為をして敬遠されていた。しかし田中氏は「一種の合理主義」としてこれを奨励した。その残滓が今はやりの官製談合。国会議員じゃ無しに地方政治家に主役が移っただけだ。
私は談合の現場を1度ならず見た。そうしなければ政治記事の真実に迫れなかったからである。その代わり、お嬢さんのようなきれいごとの記事を書いたりコメントした事はない。その代わり途中退社余儀無しとなったが悔いはない。
記者というものは徹底的に疑うのでなければいけない。制度を疑い人間を疑い、その上で事実を整理し、推測して取材対象に迫らなければならない。それはきれいごとのコメントをしてブラウン管から消えれば視聴者に笑われるのが厭だったからである。
文章は名文で無ければならないが、その構成は事実に裏づけされた煉瓦積みのような不動の真実でなければならない。きれいごとで終わるニュース解説は解説ではなくてティッシュペーパーに過ぎない。2006・12・11

コメント

タイトルとURLをコピーしました