647 647 国際世論を混乱させただって 古沢襄

共同通信社の北京情報(六月三日)に対する中国当局の反応をみると、指導部内の権力抗争が想像以上に激しいことが窺われる。まずは問題となった共同のニュース。
【北京3日共同】複数の中国筋は3日、胡錦濤指導部の下で来春2期目を迎える温家宝首相(64)が激務を理由に「続投を固辞している」と語った。現時点で有力な後継者は見当たらず、最終的には続投する可能性が高いが、最高指導部の人事異動がある5年に1度の共産党大会を秋に控えており、指導部内で波紋が広がっているという。
まあ、どこにもある観測情報で「最終的には続投する可能性が高い」と逃げをうっている。日本の政治部記事にはよくあるケースで珍しいものではない。だが来日後の温首相は政府関係上層部の腐敗追及など、上海の江沢民閥と一戦も辞せずという構えであった。
「続投を固辞している」のが本当であれば、胡錦濤指導部は江沢民閥との対立を避けて妥協路線に転じたともみえる。陳良宇・前上海市委書記を失脚させ、江沢民閥に一撃を加えた胡錦濤・温家宝路線に対しては、李長春、曾慶紅、賈慶林らが相次いで温首相を批判し非難している。
共同記事を読んで、最初に感じたのは「温家宝は弱音を吐いたな」ということであった。しかし、この記事は中国の国内には流れないから、そのまま済むと思っていた。ところが翌日に中国外務省の劉建超報道局長が、共同通信社の報道は「完全なデマ」だと厳重に抗議してきた。間髪いれぬ素早い反応。
劉局長は、このニュース報道は「職業道徳に反し無責任」とした上で「強烈な不満」を表明。さらに「国際世論を混乱させた。この目的はどこにあるのか」と述べ、共同通信側に説明を要求している。温家宝が共同記事を知って頭にきたのかもしれない。一昔前なら、これで共同は北京から追放・・・。
温家宝辞任であれば、後継首相の観測情報もでて、国際的なスクープになる。だが「最終的には続投する可能性が高い」程度の情報であれば、別の書き方があったのではないか。どのみちイチャモンをつけられるのなら、中国指導部内の権力抗争を赤裸々に書いて冷やかしてやった方がいい。この程度のことで「国際世論を混乱させた」と言われて、黙って引っ込む道理はない。

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