1411 「年内解散」が吹き飛ぶ可能性(1) 花岡信昭

越年した臨時国会の攻防戦は自公与党側の「完勝」に終わった。18日召集の通常国会ではそうはいかないという見方が強いようだが、果たしてどうか。早期解散に追い込み衆院総選挙で圧勝して政権奪取、というのが民主党の戦略であったはずなのだが、どうにも「未熟さ」「バラバラ感」が目立つ。「総選挙の年」といわれてきたが、そうはならない可能性も出てきた。
おかしなことが立て続きに起きた。9日に行われた福田首相と民主党の小沢一郎代表の初の党首討論は「対決」とはほど遠い内容に終始し、さらに11日の衆院本会議での新テロ特措法の再議決採決を小沢氏は棄権した。
党首討論はベテラン政治記者、岩見隆夫氏が「木戸銭を返せ」と言うほどの低調ぶりであった(12日付毎日新聞)。「勝負を避け、無理に調子を合わせるような雰囲気さえ感じとれた」(岩見氏)。
小沢氏は当人も認める「演説べた」ではあるが、それだけでは説明がつかない。福田首相を追い詰める好機であるはずの党首会談なのだ。「年金5000万件」をはじめとして、追及すべきテーマはいくらもある。当然ながら周到な事前準備のもとに臨んだはずである。それが、何らのポイントも稼げずに終わってしまったことは何を意味するか。
衆院本会議で採決直前に退席した小沢氏の態度も不可解であった。大阪府知事選の応援に行くため時間がなくなったという理由のようだが、憲法59条の再議決規定が適用されたのは、57年ぶり、戦後2度目である。それも小沢氏が憲法違反と断じたインド洋での海上自衛隊の給油支援を再開するための新テロ特措法の採決なのだ。
小沢氏はとかく「合理主義者」として知られ、自分1人が採決に参加しなくても大勢に影響はないと判断した、という解説もある。だが、鳩山由紀夫幹事長は党首の採決棄権をテレビで謝罪したのだから、どう考えてもまずい対応であったことは言うまでもない。
およそ政治家は意味のない行動は取らない。実力者であればなおさらだ。党首討論と衆院本会議で小沢氏が示した態度から「何か」を感じ取った向きは多かったはずである。
そこから出てくるのは「小沢氏は大連立をあきらめてはいない」という観測である。昨年10月末から11月はじめにかけての2回の党首会談で、福田首相と小沢氏は大連立でいったん合意している。それが民主党役員会の猛反発にあって頓挫し、小沢氏が代表辞任を表明、慰留されて撤回するというドタバタ劇を演じたのは記憶に新しい。
その後、小沢氏は表向きは「次期衆院総選挙で勝ち抜いて政権奪取」という旧来の民主党の政権戦略に戻ったのだが、内心は違うものがあるのであろう。それを察知しているから、民主党幹部たちも小沢氏に対して腫れ物に触るような態度を取らざるを得ない。
衆院本会議では国民新党の亀井静香代表代行も採決を棄権した。小沢氏の行動とともに、今後の政局流動化をにらんで、自在に動ける余地を残そうとしたのではないか、という見方が出てもおかしくはない。(続く)
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