中国のGDPは2035年にアメリカを抜いて世界一に。PPP(購買力平価)では2020年に米国と並ぶそうです。
ハーマン・カーンの弟子だったオーバーホルトが『中国がアメリカを超える』などという楽天的未来図を提示したのは、1995年ごろだった。
当時、オーバーホルトは、香港の野村證券主任エコノミストに転出したばかりで、筆者は香港へ会いに行った。まったく正反対の分析だから興味があった。当時のインタビューは拙著のどこかへ挿入したが、本棚を探しても見つからない。
中国のお先棒担ぎはほかにもごまんといる。
こんどはカーネギー世界平和財団のアルバート・ケイデルである。ケイデルは元世界銀行のエコノミスト。
かれの分析に寄れば、年率10%以上の高度成長をつづける中国は、経済構造と消費体質を内需拡大型に移行させてゆき、経済成長ははてしなく維持拡大の方向にあり、2035年に米国を抜き去ると大胆な予想を提示した(AFP,7月11日付け)。
「中国が貧乏だって? それは三十年前の話でしょ」。
現下、米国のGDPは14兆ドル。中国のそれは3兆ドル(ちなみに日本は5兆ドル)。
しかしPPP(購買力平価)で換算すれば、中国のそれは、いますでに米国の半分のレベルまできており、2020年に等価になる。2020年に両国のPPP換算GDPは18兆ドルであろう、とケイデルは言う。
さらに2035年に米国を抜き去り、2050年に米国のGDP予測は44兆ドルに対して、中国は82兆ドルに拡大しているだろうと豪語している。
この予測は米国への警告を含めているのか、基底の心理としてすでに米国は中国との協調路線に傾いているのか。
米国の中国を見る目は、ここでも大変化を遂げている。
古くは仏大統領のジスカールデスタン、「中国は広くて選挙なんか、できませんよ」(だから民主化しなくてもいいの?)。
同シラク大統領「中国では歳月がほかの場所より悠然と流れている」。
このような中国幻想は、日本の政治家や外務省チャイナスクールとあまり変わらない認識である。
ギ・ソルマンは『幻想の帝国』のなかでこう書いた。
「中国のファッショが中国人を不幸に追いやり、そして中国をやがて崩壊に導く」。
「いまの中国を過去の日本や韓国と類似比較するのは間違い。国家が殆どの企業の経営権を握り、このスタイルは旧ソ連型であり、ところが中国経済は世界経済の成長に依存しているのだから過去のソ連型でもない」。
「本来ならマスコミと労働組合が批判力を増して、社会的ひずみの是正に貢献する筈だが、その役割を中国で演じている人も機関もない」。
したがってギ ・ソルマンは「中国が第二の米国」になることはあり得ない、と断言している。
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2033 中国が第二の米国に? 宮崎正弘
宮崎正弘
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