人民元のハードカレンシー化への第一歩は通貨スワップ。大不況とドルの落ち目に乗じて通貨覇権を模索する中国の野望。
中国はインドネシア、香港、韓国、マレーシア、ベラルーシ、そしてアルゼンチンとそれぞれ二国間の「通貨スワップ」協定を結んだ。
かねて筆者は、この動きに注目してきた。
さきのIMF改革,SDR通貨発行提唱など、一連の文脈の中で、これはいずれの日か中国が自国通貨=人民元をハードカレンシー化させる狙いが籠められていると言い続けてきた。
この仕組みは、たとえばアルゼンチンの中央銀行はアルゼンチン国内の輸入業者に人民元を売り、中国からの輸入決済とさせる。そうやって人民元が外国に拡大蓄積される。
昨秋以来の米国景気大後退は世界的ドル不足を産んだが、そうした米ドル建て決済を回避できれば貿易金融の拡充にもなると中国は踏んだわけだ。
秘められた中国の狙いはそうやって人民元を世界中に拡散し、ハードカレンシーとするという大目標である。
奇しくも同趣旨の分析をRSB( ロイヤルバンク・オブ・スコットランド)の主任エコノミスト、ベン・シンプヘンドォーファーがしている(ウォールストリートジャーナル、4月5日付け)。
シンプヘンドォーファーは人民元が世界的通貨めざして動き出したことをこう分析した。
「具体的な通貨スワップの契約の中味は不透明だが、要するに当該国は中国からの輸入に対して人民元決済するが、そのカネは他国通貨とは交換できない。同時に香港をのぞく当該諸国はFRBとも通貨スワップを締結してバランスをとり、ワンクッションをおいて米ドルとの交換が二段階で可能にしているようだ。
最大の実践は香港とのあいだですすみ、その長期的野心が一夜で達成されることはないが、世界的通貨の位置を占めるまでのテンポは予測より早まる可能性がある。人民元の信用枠の拡大という、いずれの日かに実現しようとしている人民元ハードカレンシー化への第一歩が開始され、中国はこの百年に一度の危機を、むしろ梃子(レバレッジ)として応用していることに注目すべきだろう」
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3144 通貨覇権を模索する中国の野望 宮崎正弘
宮崎正弘
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