4277 アフガン再派兵に踏み切った韓国 古沢襄

韓国はアフガン派兵を発表した。米ホワイトハウスは「協力拡大を歓迎する」と報道官声明を発表した。オバマ米大統領の訪韓に当たっては、最大級の感謝の意を表明することになる。
だが、ここに至る韓国には苦渋の選択があったことを朝鮮日報は伝えている。
李明博政権はアフガン再建支援には経済的支援とPRT(地域復興支援チーム)を通じた医療・教育活動を政権発足時に打ち出している。オバマ米政権を支援する態度を鮮明にした。それと同時に最も直接的で国際社会の評価を受けられる案は、「派兵」を通じテロとの戦いに参加すること、という認識もあった。EU諸国と足並みを揃えようとした。
韓国は2007年にアフガニスタンで自国の宣教団が拉致され犠牲者がでる事件が発生し、医療・工兵部隊を撤収させざるを得なかった。しかし「アフガン戦は国連の支持を受けた合法的な戦争だ」との認識の下で再派兵の機会をうかがってきた。
そこに降ってわいたのは、昨年の「米国産牛肉問題」。韓国全土で大規模なろうそくデモ隊が街頭を埋め尽くし、米国産牛肉の輸入に反対する運動が広がった。「再派兵」という言葉を口に出すことさえタブー視される様になった。
オバマ政権の誕生で韓国は政府査察団をアフガンに送り、現地調査を実施した後、PRTの規模を25人から80人の水準まで増やすとの方針を決めた。オバマ政権に積極的に協力する姿勢を示したことになる。だが再派兵は封印した。増員したPRT要員は他国の軍隊によって守られることになる。しかしアフガン情勢の悪化によって兵力の不足という深刻な事態を招いている。
四月に米国のアフガン特使であるリチャード・ホルブルック氏が訪韓し、またロバート・ゲーツ国防長官も訪韓している。李明博政権内でも「派兵不可避論」が高まった。そして今回のアフガン派兵が決まっている。まさに苦渋の選択だが、オバマ政権はそれだけ韓国に借りが出来たことになる。オバマ大統領の訪日が延期になっても、訪韓はかならず実現するというのが、米政権内の声である。
<【ワシントン古本陽荘】韓国がアフガニスタンの地方復興チーム(PRT)への要員増強と警護のための軍隊再派遣を発表したことを受け、米ホワイトハウスは30日、「協力拡大を歓迎する。米国は緊密に連携していく」などとした報道官声明を発表した。
国務省も「より大きな役割を担おうという韓国の意思を示した」との声明を出した。(毎日)>
<「“ろうそく恐怖症”がなければ、アフガニスタン再派兵はもっと早くに実現していたかもしれない」
政府の幹部関係者は30日、アフガニスタンへの「保護兵力」派兵の発表について、このように語った。この言葉のように、アフガン再派兵の議論は、ここ数カ月間で沸いた話ではない。再派兵推進の動きは現政権発足初期からあったが、予期せぬ「米国産牛肉問題」と、それに伴う「ろうそく政局」で身動きが取れなくなり、たびたび延期となっていたものがようやく実現した、というのが政府当局者の前言だ。
李明博(イ・ミョンバク)政権は引き継ぎ委員会の時期から「国際社会に対する寄与」を主要外交目標に選定し、これに関する実践項目の一つとして、「アフガニスタン再建支援」を推進してきた。再建支援には経済的支援とPRT(地域復興支援チーム)を通じた医療・教育活動も含まれるが、最も直接的で国際社会の評価を受けられる案は、「派兵」を通じテロとの戦いに参加すること、という認識もあったという。
政府関係者は「韓国は2007年の宣教団拉致事件の後、医療・工兵部隊を撤収させたが、その間にアフガンでは42カ国が軍隊を派遣し、タリバンとの戦闘を繰り広げた」と語った。アフガン戦は派兵の「名分」が明確だという点も、再派兵議論にプラスになった。
政府当局者は、「イラク戦は米国の無理な戦争という認識が強かったが、アフガン戦は国連の支持を受けた合法的な戦争だ」と語った。国連安全保障理事会は2001年から3度にわたり、アフガン国際治安支援部隊(ISAF)の活動を支持する決議を採択した。
しかし、昨年半ばに「米国産牛肉問題」が起こり、大規模なろうそくデモ隊が街頭を埋め尽くすという、予期せぬ状況に見舞われたことで、アフガン派兵に対する議論は完全に姿を消した。政府筋によると、当時ろうそくデモで大統領の支持率が20%以下に急減し、政権退陣運動まで起きたため、大統領府(青瓦台)の政務関係者らは、進歩陣営への影響を配慮し、いかなる議論も中断させた。
「再派兵」という言葉を口に出すことさえタブー視されたという。それほど「ろうそくの恐怖」の後遺症が深刻だったというわけだ。当時、政府関係者の間では「今の状況で派兵して戦死者の遺体が送還される場面がメディアで放送されれることになれば、政権の存立が危うくなる」という話もささやかれた。
アフガン支援拡大の議論が再び浮上したのは、昨年末に米国大統領選挙で勝利したバラク・オバマ大統領が、アフガンの対テロ戦積極介入の意思を明らかにし、アフガン内部状況の悪化で国際社会による支援の必要性が高まったためだ。
政府は今年1月に政府査察団をアフガンに送り、現地調査を実施した後、PRTの規模を25人から80人の水準まで増やすとの方針を確定した。しかし、この時点では派兵に重点が置かれていなかった。柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商部長官も今年1月、マスコミとのインタビューで、「アフガンで韓国が軍事的に大きな役割を果たすことはできない」と述べた。
こうした中、米国のアフガン特使であるリチャード・ホルブルック氏が4月に来韓し、李大統領と面会するなど、米国の間接的要請が強まると、政府内では「派兵不可避論」が本格的に台頭し始めた。政府はこのときから本格的に世論造成に力を入れる一方、今夏に非公開で査察団を現地に派遣し、対象地域を調査するなど、事前準備を行ってきた。政府筋は「大統領の支持率が50%前後まで回復すると、大統領府側でもある程度ろうそく後遺症を抜け出した雰囲気となった」と語った。
こうした紆余(うよ)曲折を経て派兵方針を確定、発表したが、意思決定が遅れたことで、むしろ甘受すべき危険性は高まったという指摘が出ている。比較的治安の良い地域の大半にはすでにほかの部隊が派遣されており、韓国は相対的に劣悪な3州を対象にPRTと派兵対象地域を模索しなければならないためだ。金泰栄(キム・テヨン)国防長官が29日、「軍を派遣するときは、犠牲を覚悟しなければならない」と話したのも、こうした状況を念頭に置いたものとみられる。(朝鮮日報)>
杜父魚ブログの全記事・索引リスト

コメント

タイトルとURLをコピーしました