オバマ米大統領に対して鳩山首相は日米首脳会談で「私を信じてほしい」と伝えた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題のことである。
それが十二月に入って間もないのに年内解決を放棄して、来年に先送りすると早々と喋ってしまった。
年内決着が事実上の前提だった米側は納まる筈がない。四日開かれた日米の閣僚級作業グループの会合では「にこやかな雰囲気ではなかった」。首相が先送り方針を固めたことで、作業グループを開く意義そのものが薄れてしまった。日米関係を保つ「頼みの綱」が切れかけている。
日米関係筋は「米国からすれば首相がウソをついたということになる。日米関係で痛恨の一打になった」(毎日)との指摘は、日米関係が軍事同盟だけでなく、政治・経済面でも深刻な亀裂を生む危険性を示唆している。米国内における知日派の発言力も、日を追うごとに低下しているという。
その懸念をよそにして鳩山首相は年内にインド訪問を計画しているというから、およそ常人の理解するところではない。”外遊”は文字通り幸夫人を伴った外国訪問の遊びなのだろうか。
鳩山首相の外交指南役を自認する寺島実郎氏はワシントンの知日派を訪れて、在日米軍を三分の二まで減らすことを説いて回った。それ自体が外務省との二元外交になって、米国に誤ったサインを送ることになりかねない。
鳩山首相の好む言葉を使えば”すなわち”日本は米国離れして、中国と密接不可分な関係を結ぶことになる。小沢幹事長を代表に仕立てた大訪中団が間もなく出発する。
<鳩山由紀夫首相が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、社民党との連立を重視して年内決着を断念し、日米合意以外の新たな移設先の検討を指示したことで、日米関係がさらにきしむのは避けられない状況になった。4日の閣僚級の作業グループでは、米側の「懸念」表明に対し、日本側は「早期解決」の姿勢を示し理解を求めたが、解決への展望は見えない。
◇作業G、意義薄れ
「米側として現状を懸念している。迅速に解決する必要がある」
ルース駐日米大使は会合でこう語り、普天間飛行場をキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)へ移設する現行計画の早期実施を迫った。米側の反発は強く、「懸念」を繰り返した。これに対し、岡田克也外相は「この問題で、日米関係が厳しくなることを懸念しており、自分としては全力で何とかしたい」と、踏み込まざるを得なかった。
「にこやかな雰囲気ではなかった」。同席した外務省幹部も厳しい表情で語った。
作業グループは11月のオバマ米大統領の来日直前に設置された。日米関係を悪化させないために米側が譲歩した側面がある。首相が日米首脳会談で「私を信じてほしい」と伝えたこともあり、会合は年内決着が事実上の前提だった。
ところが首相が先送り方針を固めたことで、作業グループを開く意義そのものが危うくなり、日米関係を保つ「頼みの綱」が切れかけている。日米関係筋は「米国からすれば首相がウソをついたということになる。日米関係で痛恨の一打になった」と指摘する。
会合では日本側の閣僚の足並みの乱れも改めてあらわになった。首相が新たな移設先の検討を指示したことについて、北沢俊美防衛相は「首相は従来、辺野古案を含めてあらゆる選択肢を検討するべきだと指示している」と説明したが、岡田外相は「新たな候補地を検討するという報道は事実ではない」と、認識のずれを示した。
米側は10月のゲーツ国防長官の来日、11月のオバマ大統領の来日でいずれも、在沖海兵隊8000人のグアム移転という沖縄の負担軽減策に言及して日本に早期履行を迫ってきた。
米政府は10会計年度(09年10月~10年9月)予算に在沖海兵隊のグアム移転費を計上している。
作業グループ会合では、米側が「米議会の関心も極めて高く、議会との関係でも影響が出る」と指摘。日本にとっての弱点である負担軽減策が中止になる可能性を、米国の「国内事情」をあげて示唆し、強い圧力をかけた。
◇「新移設先」次々 グアム、関空…
首相が指示した新たな移設先。国外移設先の候補地は、米軍再編で海兵隊の一部移転先となっているグアムだ。
「(グアムに)近々行ってくる。キャパ(シティー)の問題や地形、米軍の展開を確認したい」。北沢防衛相は4日の記者会見で可能性を探る姿勢を示し、「沖縄の世論も社民党の意見も、一時先延ばししても県外を模索しろというメッセージだ」と強調した。ただ、作業グループ会合で米側が計画通りの履行を改めて求めたとの報告を岡田外相から受けた鳩山首相は首相官邸で記者団に「グアム移設の話は私から言及はしていない」と語った。
県外移設先には関西国際空港が取りざたされる。大阪府の橋下徹知事が、関空移設論議に前向きな意向を表明したのを受けて、沖縄県選出の下地幹郎・国民新党政調会長らが2日、府庁で会談。知名度が高い橋下知事をパートナーに、沖縄県の基地問題を国民的議論に発展させたい下地氏は同日夜、さっそく北沢氏と会い、橋下知事との面会を働き掛けた。
関空を所管する前原誠司国土交通相は4日の記者会見で「機微のある問題」と具体的言及を避ける一方、普天間代替施設に米海兵隊が新型垂直離着陸機「MV22オスプレイ」を配備予定であることについて「環境影響評価をやり直さないといけない」と述べ、現行計画ではかえって時間がかかるとの見方を示した。ただ関空移設に対し政府内では「地政学上、米軍にとってメリットがない」「軍用機ではなく伊丹の路線を移したい」など反対意見が大勢だ。(毎日)>
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4519 首相のウソ?が日米関係で痛恨の一打 古沢襄
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