4937 オバマ政権、対中圧力を『人民元切り上げ』に集中か 宮崎正弘

旧正月明け、米中対決が迎える新段階。ダライラマ法王の訪米は17日と決まった。おりしも[G]「ステークホルダー」と言われ密月状態にあったはずの米中関係がこじれにこじれている。オバマ訪米は中国が旧正月明けのタイミングである。
グーグル問題が端緒となり、関連して中国のスパイ部隊の存在が暴露され、欧米の軍、政府、有力企業などへのハッカーによる攻撃が批判の的となり、つぎに浮上したのが台湾への武器供与、そしてダライラマ訪米時にオバマ大統領が面会しようとしていることなどで米中関係に鋭い軋みが生じた。
押され気味だった米国は姿勢を防御型から攻撃型に変え、人民元を攻撃材料化しはじめた。
人民元の為替レートを不正に操作して、輸出競争力を保つ中国の遣り方をオバマ大統領は「人工的に操作されている人民元レートは中国産品を有利に売りさばくが、米国に失業を拡大させ、産業の価格競争力が阻止され、まったく不公平である」と改めて非難した(2月3日、民主党指導者との会合で)。
対して中国は馬朝旭・外交部スポークスマンが反論『人民元は安定しており、中国はいかなる圧力にも屈しない』(2月4日)と対決姿勢を示す。
人民元の対ドルレートは2005年7月1日から変動相場制に移行したものの、極めて狭いレンジに限定され、08年までの三年間で21%の切り上げになっただけ。しかも08年以後は、ほぼ固定相場をとってきたため、リーマンショック以後も短時日裡に、中国は輸出力を回復し、世界経済復元の牽引車などと賞賛された。
 
09年の経済成長目標を8%とし、同年三月の全人代で「保八」を謳った。結果は8・7%と公表され、胡―温執行部は胸を撫で下ろす。この背伸びした経済成長が次にバブル破綻をまねくことになるだろうが、いまは論じない。
▲米中関係の亀裂は日本外交にとって稀なチャンスなのだが
ここへきて人民元への批判の高まりは秋の中間線窮緒を控えるオバマ政権が中国へのスタンスが甘いという非難をかわす目的もある。米国の要求は「30-40%の人民元レートの切り上げ」である。
とりわけ民主党内の人権擁護派、言論の自由派が対中姿勢の強硬なスタンス替えにも起因している。
米国の保守派は「民主、自由の価値観を共有する日本などの同盟関係をおろそかにして、価値観を共有できない潜在的敵対国家に軟化しすぎた」として、オバマ外交を正面から批判している。
日本にとって、この米中関係の亀裂はチャンスではないのか?
この敵失状況を積極的に利用して日米同盟を深化させるチャンスとするのが普通の国の外交だが「普通の国になろう」と主張した張本人が反米姿勢に転じて中国礼讃では、貧困な日本外交は、やはり北京にいいように利用される懸念が拡がる。
ゴールドマンサックスのエコノミスト等は『年内に5%の切り上げがあるだろう』と予測している(NYタイムズ、2月5日付け)。
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(読者の声)決定版が出ました。「日本には謎の鳥『ハト』がいる。中国から見れば『カモ』、米国から見ると『チキン』、EUからは『アホウドリ』、日本の選挙民は『サギ』と考えているが、小沢から見れば『オウム』、しかしあれは『ガン』だと思う」というジョークがネットで流行しています。(HG生)
(宮崎正弘のコメント)ほかにも「身体検査をしたら『カラス』のように黒く、釈明会見では「九官鳥」になるが、実際のところ、鳩山は「鵜飼」の鵜にすぎない」という追加バージョンもあります。
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