朝鮮半島情勢についてロイター通信社がロンドンから「朝鮮半島有事のリスクは、明らかに世界中の投資家に意識され始めている」という分析を流している。その分析は「日韓以外の世界の投資家は、朝鮮戦争のリスクをより本気で懸念し始めた」というものである。
「朝鮮半島が過去数十年で最も危険な状況にあることに疑いの余地はない」との見方を示した。第二次朝鮮戦争に突入する可能性は低いという大方の見方を支持する一方で、ロシアや中国から出ている不測の事態を懸念する見方に配慮する分析ともいえる。
日米韓が力によって北朝鮮の暴発を押さえる軍事・外交路線をとっているのに対して非難ではないが、懸念を示した点は興味深い。
<[ロンドン 23日 ロイター] 北朝鮮が核抑止力を使った「聖戦」の準備ができていると表明したことについて、政治アナリストや市場関係者らは、単に北朝鮮流の「レトリック」として概して深刻には受け止めなさそうだ。しかし、朝鮮半島有事のリスクは、明らかに世界中の投資家に意識され始めている。
北朝鮮の金永春・人民武力相は23日、韓国による軍事演習を衝突開始に向けた挑発行為だと非難し、人民軍は核抑止力を使った「聖戦」の準備ができていると述べた。
韓国と日本の金融市場は、度重なる北朝鮮の脅しに慣れており、さほど右往左往することなくやり過ごす傾向にある。朝鮮半島有事の可能性は極めて低いと認識され、そのリスクは資産価格にすでに織り込まれていることも背景にある。一方、日韓以外の世界の投資家は、朝鮮戦争のリスクをより本気で懸念し始めた。
元英外交官で野村インターナショナル(ロンドン)の政治アナリスト、アラステア・ニュートン氏は「レトリックとしては過去に聞いたことがある類のものだ。しかし、朝鮮半島が過去数十年で最も危険な状況にあることに疑いの余地はない」と語っている。
今年3月に韓国海軍哨戒艦沈没事件が発生して以降、先月には韓国の延坪島に北朝鮮が砲撃するなど、両国間の緊張は着実に高まっている。韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は23日、北朝鮮が再び攻撃した場合には、韓国軍は「容赦ない報復攻撃」を開始すべきだと述べた。
戦争に突入する可能性は低いというのが大方の見方である一方、朝鮮半島情勢については、米バンク・オブ・ニューヨーク・メロンやロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)、スウェーデンのSEBなど、世界の大手銀が顧客向けリポートで言及している。
韓国軍は23日に南北非武装地帯付近などで大規模な軍事演習を実施したが、それに対する報復攻撃を北朝鮮側は示唆しておらず、状況はひとまず落ち着いたかに見える。
しかし、朝鮮半島情勢は簡単に一段と悪化し得る。北朝鮮が再び何らかの攻撃を仕掛けた場合、韓国政府には報復を求める国内の政治的圧力が一段と強まることになるからだ。
ロンドンを拠点とするコントロール・リスクの北アジア担当アナリスト、アンドリュー・ギルホルム氏は「(北朝鮮による)さらなる砲撃や大きな挑発行為があった場合、韓国からはさらに強い報復があるだろう」と指摘。「平壌への広範な攻撃などは想定していない。単純に南北境界線付近の軍事施設を狙ったものになるだろう。もちろん懸念すべきことだが、武力衝突は限定的なものにとどまるとみている」と述べた。
ただ、たとえそれが限定的な武力衝突だとしても、年末年始の休暇を控えた投資家は通常よりもポジション調整に神経質になるため、いざ発生すれば薄商いの市場には大きな影響が出そうだ。
ロイヤル・バンク・オブ・カナダの外国為替ストラテジスト、ナイジェル・ランデル氏は「最もリスクのある資産を減らし、米国債など安全な逃避先にポジションを作ることを意味する。10日ほど市場を離れる投資家もいるが、そこで窮地に追い込まれたくはないはずだ」と述べた。
最悪のシナリオは、可能性としては極めて低いが、投資家の頭から消えきらない全面戦争への突入だろう。
しかし、今年に入って平壌を訪問した野村インターナショナルのニュートン氏は「(戦争は)北朝鮮の現体制存続に相当な危険をもたらす。われわれの基本的なシナリオは、彼らは論理的であり、まだ自分たちの体制を維持したいというものだ」と語った。(ロイター)>
ロイター通信社=ユダヤ系ドイツ人のポール・ジュリアス・ロイターが設立したロイター通信社については共同通信社の倉田保雄さんの「ニュースの商人ロイター (朝日文庫) 」が今でも読まれている。第一次世界大戦でドイツが敗れたのは、世界に通信網を張り巡らせたロイターとの情報戦に敗北したためだとさえ言われた。
第二次世界大戦後には、一九五六年のソ連共産党の秘密大会で行われたニキータ・フルシチョフ首相によるヨシフ・スターリン批判をスクープしている。しかしロイターが肥大化したのに伴って、コスト面で経営不振に陥り、一九八〇年代から金融情報サービスに特化した通信社になった。現在は売り上げの95%以上は国際的な金融情報サービスで稼ぎ出している。
二〇〇七年にカナダの情報サービス大手企業であるトムソンがロイターを87億ポンドで買収、新会社名は「トムソン・ロイター」となった。この結果、金融情報サービスで米国ブルームバーグを抜き世界最大手となっている。
金融情報・報道部門は引き続き”ロイター”ブランドを使用し、ロイターの編集権の独立も維持されるとしているが、中立性が生命である報道の自由が変質するのではないか、という指摘も根強い。しかし中東情報ではロイターが圧倒的に強いのが現実。
杜父魚文庫
6935 日韓以外の世界の投資家は朝鮮戦争のリスクを懸念 古沢襄
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