9895 自民、期限切り攻勢に「不成立解散」も  古沢襄

社会保障と税の一体改革関連法案の修正協議は、民主党内を二分する混乱を招いている。それを見極めている自民党と公明党は同法案の不成立も視野に入れて、15日で修正協議を打ち切り野田首相に早期の衆院解散を迫る方針に転じた。
消費増税法案が不成立に終われば、この法案に政治生命を賭けると明言している野田首相は、内閣総辞職をするか、国民の信を問う解散・総選挙に打ってでるかの選択肢しかない。
首相の性格からして、勝敗にかかわらず解散の道を選ぶという”読み”があることから、自公両党は法案採決を先延ばしする道を断ち、早期の衆院解散を引き寄せる戦略を鮮明にしている。
<自民党は13日、社会保障と税の一体改革関連法案に関する民主党との修正協議について、合意できなくても15日に協議を打ち切る方針を、公明党との間で確認した。協議期限を突き付けるのは、修正協議への対応をめぐる民主党内の混乱拡大を誘うことで、野田佳彦首相をぎりぎりまで追い詰め、早期の衆院解散につなげる狙いがある。
「尻がいつまでも切れないようではいけない。15日に合意を得て、21日までの会期中に衆院での採決に持っていく」。自民党の谷垣禎一総裁は13日の党会合でこう語り、交渉期限は譲れないとの考えを強調。同党の岸田文雄国対委員長は民主党の城島光力国対委員長と国会内で会い、「15日で打ち切る覚悟で臨む」と通告した。
民主党は自公両党との修正協議で、将来の年金・医療制度は「社会保障制度改革国民会議」での議論に委ねるとした自民党の提案を受け入れる意向を表明。首相は13日の政府・民主三役会議で、国民会議などを盛り込んだ自民党の対案「社会保障制度改革基本法案」を修正した上で、共同提出を目指すよう指示した。
首相は、最低保障年金などを掲げた衆院選マニフェスト(政権公約)の理念は堅持するとしており、基本法案の「丸のみ」を迫る自民党との溝はなお深い。それでも、悲願の消費増税実現へ最低保障年金などの議論を棚上げしてでも合意を急ぐ首相に、民主党内では「増税先行」との反発が中間派にも拡大。採決先送りを目指す動きも活発化している。
しかし、自民党は協議の長期化は認めない方針。交渉が延々と続き、衆院採決が先送りされれば、法案賛成と引き換えの「話し合い解散」に持ち込むのは難しくなると見ているためだ。
一方で、首相が法案不成立の場合に解散に踏み切る可能性に言及したことで、自民党内では、法案の成否にかかわらず首相を追い込めるとの見方も出ている。谷垣氏周辺は「むしろ法案を通さない方が、解散が近づくのではないか」と指摘する。
当初は法案を否決して解散に追い込む戦略を描いていた公明党にとっても、成立せずに首相が解散すれば好都合だ。同党幹部は「だらだらやらないというのがもともとの考え。こちらは15日の合意に向けて努力するだけだ」と淡々と語った。(時事)
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